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先進事例ゲット! 九州視察研修パート

    視察研修パート


 ・福岡県八女市の市民との協働によるまちづくり事業について


 ・八女市予約型乗合タクシーについて


 

【目的】


 福岡県八女市は、JR鹿児島本線羽犬塚駅東に位置する九州自動車道の八女インターから東へ広がる地方都市である。


 平成18年に上陽町、平成22年には、立花町、黒木町、星野村、矢部村と合併、市を旧町村名から6つのエリアに分けている。

人口は約7万人、世帯数は約2万8,800世帯であるものの市の総面積は482.53銑屬傍擇啅綵では北九州市に次ぐ面積を誇っている。


 富士市と同じくやぶ北茶が特産品、そのブランド名は『八女茶』で、茶の生産・販売は“茶のくに八女のおもてなし宣言”を図る中、八女市の観光・産業を支えている。玉露生産高は、日本一であり、茶の単価も日本一である。


 九州における、和紙(八女和紙)と仏壇(八女福島仏壇)の発祥の地でもあり、市を横断する国道442号線沿いに数多くの仏壇仏具店が立ち並んでいた。


 平成23年度の自治会加入率は93.3%であるが毎年減少傾向にある。地域活動への関心も低くなり、地域住民の相互扶助、連帯意識が年々薄れてきている。地域活動団体における高齢化の進行と組織役員の後継者不足から組織自体の運営が困難な状態に陥りつつある。


 高齢化は、55歳以上が約45%、65歳以上が約29%、75歳以上が約18%であり、確実に進行し、過疎化や若者流出と社会構造が大きく変化、まちづくりに対し、新たな課題が発生している。

 しかも、長引く景気低迷から行政サービスの水準も行政だけで維持していくことが年々厳しくなってきている状態にある中、八女市は地域の中で住民自らが考え、行動する住民自治の基盤作りの重要性に注目。校区を活動範囲とする団体の育成強化を進め、行政との協働で、まちづくり活動を効果的に推進する仕組みづくりを推進している。


 富士市と同様の課題を抱えた八女市の市民との協働によるまちづくり及び提案事業の把握を試みた。富士市が平成24年度から「取り組む」としている「まちづくり協議会」なるものの新たなまちづくり組織に向けての示唆が得られるのでは…、その期待をもって…。


 
   視察研修で訪れた八女市役所の玄関前で…


   

【研修内容】


「市民との協働によるまちづくり事業について」


 八女市は、少子高齢化や地区共同体意識の低下により徐々に地域力が衰退する中、平成22年、2町2村との合併前に旧八女市の全小学校区で市民との協働による「まちづくり協議会」を発足させている。合併後には、同様な組織を旧2町2村にも発足。新市においては21団体の「まちづくり協議会」が活動を繰り広げている。


 八女市役所に隣接する市民センターで担当者から説明を受けたが、その「まちづくり協議会」の発足に向けてのポイントは、以下、次の通りである。

 

 ●市民と市の協働を主体とするために「市民の責務」と「市の責
  務」、そして「市民と市の共通の責務」を“協働の原則”として
  明確化している。


 ●市民の責務として
  
   市民はまちづくり団体に結集し、積極的に組織の運営に対す
   る協力や支援を行うものとする。

    市やまちづくり団体等が行う地域活動にも進んで参加するよ
う努める。


 ●市の責務として、

   制度作り、財政の支援等を行い、総合的な環境の整備を図る。

   地域情報を供給する場、地域人材の育成に努める。

   協働による地域づくり活動の推進のため啓発や研修を実施す 
 る。


 ●市民と市の共通の責務として、

    それぞれの立場に応じて必要な役割を果たすよう努める。

    協働を実現する企画、提案及び行動において、対等であり公正でなければならない。

    それぞれ人材の育成に努めるとともに、その人材が地域において有効な活動ができるよう努める。


 ●これらの精神の下、市民と市はお互いの立場を尊重し、それぞれ
  の立場で不足する相手の部分を互いに補い、役割分担すること
  で、相乗効果を生み、地域課題の解決を実現する手立てとしてい
  る。


 ●「まちづくり協議会」を発足することにより、地域の連携を強
  化、さらに同協議会を中心にまちづくり活動の自主的な企画運営
  を施すため、各種補助金の一括交付を行う。


 ●21団体の「まちづくり協議会」は、それぞれに形態が様々であ
  る。地域性により活動分野の内容が違っており、地域づくりに関
  する住民意識にも差がある。そこで、組織全体の底上げを行い、
  持続可能な組織作りを進める必要性がある。そのために「まちづ
  くり協議会」が相互に情報交換をする場、また行政と意見交換や
  要望をする場を創設、相互に連携を強化する上部組織も必要であ
  る。その上部組織が「未来づくり協議会」で、構成する「まちづ
  くり協議会」の代表者で運営し、その業務の成果や結果について
  市に提言できる機能を有している。

 

この「まちづくり協議会」及び「未来づくり協議会」の発足と同時に八女市は「市民との協働によるまちづくり提案事業」と「地域づくり提案事業」を創設している。


 対象となる団体が異なり、それぞれに事業内容の審査があり、そこで選出されれば、助成金の交付対象者となる。


 前者の「市民との協働によるまちづくり提案事業」は、5人以上で構成される市民活動団体で、主にソフト事業を対象としている。助成額は50万円が限度額である。また、審査は課長クラスと有識者である。


 後者の「地域づくり提案事業」は、下部組織の部会を含む「まちづくり協議会」と「未来づくり協議会」を対象とし、ソフト事業とハード事業があり、100万円が限度額である。審査は、部長クラスと、未来づくり協議会役員である。

一部対象者と審査員が同一というのも驚く点ではあるが、不採用の場合など地元と調整ができる、というメリットもあるようだ。

また、まちづくり協議会による、もともとの活動も、提案事業へと格上げをすることにより、助成金を受けることができる点も特色の一つとしている。


 

「公共交通・八女市予約型乗合タクシーについて」


 八女市の視察目的は、「まちづくり協議会」の発足と「まちづくり・地域づくり提案事業」の把握であったが、説明役を担っていただいた新社会推進部地域支援課長の大石法光氏に、こんな疑問をぶつけた。


「八女市には鉄道路線がなく、市面積も広大。交通弱者である高齢者などの“足”は、どう確保しているのか」


 大石氏が課長を担う地域支援課は、「その対策担当課」ということで、視察研修に公共交通を加え、説明を受けた。驚くべき先進的かつ英断をもっての取り組みであった。


 八女市は、市面積が広大であることも踏まえ、公共交通協議会がバス廃止路線の代替として試験運行のスタートわずか11カ月後の平成1212月からエリアを設けるものの市内全域で自宅玄関口から目的地まで300円から400円の交通公共サービス(予約型乗合タクシー)に取り組んでいる。


「市民の責務、市の責務、市民と市の共通の責務の明確化を図り、市民に責務の自覚と実践を求めていくこと」は時代ニーズとされているものの、それは「スクラップ(公共サービスの後退)」であり、それに対して八女市の市内全域、しかも役所内に統一の予約センターまで設けてのスピーディーな予約型乗合タクシーの取り組みは「ビルド(公共サービスの促進)」。


 この相関でいることは、「スクラップへの市民合意を得ていくにはビルドも必要」、そういえるかもしれない。


 

【研修所感】


 まず、「市民との協働によるまちづくり事業について」の研修所感であるが、八女市の取り組み、「まちづくり協議会」発足の背景には、人口減少が続き、高齢化も進み、これに伴って財政の悪化があり、そのために市民の責務、市の責務、市民と市の共通の責務の明確化を図り、市民に責務の自覚と実践を求めていくもの。

それぞれの責務を簡潔、明確に示し、「まちづくり協議会」発足の狙いが分かりやすかった。


 さらに、「まちづくり協議会」の自主的な企画書作成等には、「かなりのスキルを有する」と観測される中、元・市職員が事務局として働いていること、また、市が育成やサポートを担っていることなども、今後、富士市が同様の組織である「まちづくり協議会」の発足を目指す上で参考にすべきことと感じた。


 このほか、提案事業については、「まちづくり協議会」がこの制度を利用して販売等の事業展開も行っており、継続が可能であれば、さらに地域独自の歳入を得ることになる。これは、さらなる地域活性化の鍵を握っているものと判断された。


 富士市も今後地域社会の構成変革が行われる中、市民と市との協働は不可欠であり、提案事業による大きな助成制度も期待したい。

最後に、説明にあたっていただいた地域支援課の大石課長と池田係長の意気込みが、尋常でなかった点、ここにも市民と市との協働への成功への鍵があるように思えた。

 

 一方、「予約型乗合タクシー」の研修所感であるが、注目した点は「エリアを設けるものの試験運行後、市内全域で一気に運行を開始」と「役所内に統一の予約センターを設置して対応している」の二点である。


 この「予約型乗合タクシー」の取り組みは、「まちづくり協議会」で打ち出された市民の責務、市の責務、市民と市との共通の責務の一つの変容と受け止めることができよう。


 とりわけ、役所内に統一の予約センターを設置して対応していることは、交通弱者に対する市の責務を市民に印象付け、利用に安心感を与える副次的な効果も期待できよう。


 富士市もコミュニティバスやデマンドタクシーに取り組んでいるものの、八女市の視察を通じていえることは「富士市には、公平な公共サービスへの視点をもってのスピード感のある公共交通への取り組みと、市民に軸足を置いた公共交通の運用体制の確立が急がれる」である。


 これを視察研修の会派の総括とし、今後、実現を求めて意見を発信していくことを記し、視察研修の報告を閉じたい。

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