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岳南鉄道への公的支援は年間6,500万円

 富士市の鈴木尚市長は、きょう8月31日に開かれた市議会全員協議会で、「岳南鉄道(以下、岳鉄)の存続にかかわる公的支援について」「災害廃棄物の広域処理について」「指定管理施設の使用料(利用料金)について」の三件を報告。9月定例会の開会を前に直面する市政上の課題を事前に議会側に報告、理解を得たもので、注目の岳鉄の公的支援額も公表、その額は「年間6,500万円」でした。

 

 岳鉄は昭和28年1月20日に全線が開通した富士急行グループの私鉄。JR吉原駅と岳南江尾駅を結び全長は9.2辧

 

 半世紀以上にわたって製品の輸送路、住民の足として利用され、貨物輸送量は昭和44年に年間100万トンを記録、旅客輸送は昭和42年のピーク時には500万人を記録しています。

 

 しかし、その後、トラック輸送時代やマイカー時代を迎えたこともあって平成22年度の貨物輸送は10万トン、旅客輸送は77万人と大きく落ち込み赤字経営。不動産部門の収益を投入し、市の補助金(平成23年度は2,000万円)を受けて存続を図っています。

 

 こうした中、昨年1216日に開かれた富士市公共交通協議会で岳鉄は、「JR貨物から来年4月から貨物輸送の休止通告を受けたことにより鉄道事業を存続させることが極めて困難になった。自助努力も限界」とした上で、「今後も維持・存続していくことが適切であると評価されるのであれば富士市には相応の公的支援を講じていただきたい」と要望しています。

 

岳鉄への新たな対応を迫られた富士市は、内部検討を重ね、今回、公的支援を強化することを決め、31日の全協に報告したものです。

 

報告で担当の都市計画課は、公的支援の基本的な考え方として「岳鉄は富士市における社会基盤として事業者の自助努力と行政の適切な関与によって市民、事業者、行政が一体となって支えていく」とし、公的支援の基本原則として|韻覆訐峪補填(ほてん)ではないこと富士市にもたらされる社会的便益の対価として適切な関与であって、その算定根拠が明確であること事業者としての効率性・サービス向上が引き続き確保されること、の三点を示しました。

 

その上で岳鉄の存続によってもたらされる社会的便益を「所要時間短縮」「費用低減」「道路交通事故削減」の三点から数値で示し、それを金額に置き換えて年間6,500万円と算出。

 この公的支援の目安とする年間6,500万円の補助金を広義の上下分離(鉄道の運行と鉄道施設の維持にかかわる費用の会計上の分離)という観点から検証し、公的支援の妥当性の立証も図っています。

 

 岳鉄の年間経費は24,7107千円とされ、そのうち収益は15,7736千円。差し引き8,9371千円の損失が見込まれているものの、市では「妥当性がある」とする公的支援を6,500万円としたことから損失差額の2,4371千円の確保については「岳鉄に利用の促進と経営改善を求める」としています。


 下図を参照して下さい。(単位は千円)


 

 

 また、支援の期間は「平成24年度から平成26年度までの三カ年」、その後については「平成24年度と平成25年度を検証期間とし、検証期間が終了した時点で方向性を客観的に判断する」としています。

 

 これにより岳鉄は、とりあえず平成26年度までは存続することになります。

 

 ただし、本年度分の公的支援6,500万円のうち、すでに本年度当初に予算を計上、議会側が可決に応じた2,000万円の追加分となる4,500万円は11日に開会する市議会9月定例会に上程する補正予算案に組み込むことになっており、議会側が補正予算案の可決に応じて正式決定となります。

 これまでのところ、議会側に「公的支援強化、補助金追加に反対」とする動きはなく、31日の全協でも反対論は出ず、可決が予想されます。

 

 自分、海野しょうぞうは、この岳鉄の公的支援の強化を複雑な思いで受け止めています。現況下で「存続に賛成か、反対か」、その二者択一をもって結論を下すのが難しいためです。

 

「このままでは存続・維持は難しい」の岳鉄に対し、市の三カ年という期間を設定しての公的支援強化の決定を下した理由には、〕用が大きく減少しているものの、いまだ年間77万人が利用存続を求める市民の署名活動のほか町内会連合会が市に公的支援の強化を要望などがあったこと、さらに初期投資とランニングコストの費用面から「検討」の域を脱することができないものの市は道路と線路の操法を走行できるDMV(デュアル・モード・ビーグル)を投入してJR富士駅→新幹線新富士駅→吉原本町商店街→岳鉄→JR東田子の浦駅を結ぶ東西軸整備構想を有しており、岳鉄が廃線となることは、そのDMVを投入しての東西軸整備構想も白紙になる、などが想定されます。

 

 今後、存続する期間内での市の検証と、その検証後の方向性が注目されますが、利用者が増加=公的支援減額にならなければ「代替バスに切り替え、廃線も止む無し」も選択肢としなければならない。

「利用者がさらに減少、公的支援増大になっても存続」とする方向性を打ち出すならば、交通弱者の高齢社会が進む中、公共交通は“動く公共施設”の位置付けをもっての拡充・充実が時代ニーズとして突き付けられているだけに、公費投入の公平性の面から岳鉄だけでなくコミュニティバスなどの公共交通の全市的な整備も可及的速やかに取り組む必要がある。

 

 自分は、そんな考えでいます。

 

 

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