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視察研修報告(長崎県佐世保市、壱岐市)パート
 

自分、海野しょうぞうが所属する会派「耀(かがやき)」は、平成24年(2012年)11月6日から同8日までの三日間、長崎県の佐世保市と壱岐市を行政視察で訪れました。

視察目的は、佐世保市が「まちの再生・再生支援交付金について」、壱岐市が「いきいきわくわく観光コンビニエンス構想について」と「一支国博物館の建設と運営について」です。

 

以下は、視察後、議会事務局に提出した会派の「行政視察報告書」です。二回シリーズでブログでお伝えします。ご一読いただけたら幸いです。

なお、このブログは通常、口頭語で記していますが、報告書は文章語で記しており、そのままアップします。


行政視察目的 長崎県佐世保市          

 

 佐世保市(させぼし)は長崎県北部の中心都市。長崎県では長崎市ついで2番目、九州・沖縄地方では10番目に多い人口を擁する。

県庁所在地ではない「非県都」としては比較的大きな規模を持つ都市で、国から特例市及び保健所政令市の指定を受けている。旧海軍の軍港が置かれた港町であり、現在もそれを受け継いだ造船および国防の町として知られる。

また、日本最大級のテーマパークであるハウステンボスに代表される観光都市でもあるが、長崎市とは離れているため経済圏は異なる。

 

 市面積は426.49キロ屐壁抻了圓245.02キロ屐法∧神24年3月31日時点における人口は258,520人(富士市は260,559人)である。

 富士市と同規模の人口都市でありながら平成24年度の一般会計当初予算規模は1千億円を大きく上回り1,1286,4379千円(富士市は788億円)に達している。

 しかし、市税は282億円(富士市は4538,030万円)で、予算に占める構成比率は25.0%(富士市は57・6%)に過ぎない。

 こうした中での1千億円を越える予算編成は、地方交付金や国庫補助金などに支えられてももので、佐世保市の平成24年度一般会計当初予算で見込んだ地方交付金は実に2895,000万円(富士市は85,000万円)。市税見込み額を上回り、予算に占める地方交付金の構成比率は25.%(富士市は1.1%)となっている。

 

 この状況下、今後も安定税収をもたらす米海軍佐世保基地があるとはいえ、時代は、肥大化した国債の解消を基軸に地方に財政面の自立を求めているが、佐世保市では経営再建中の日本最大級のテーマパークであるハウステンボスに平成22年度から再生支援交付金の交付を開始。原則10年間、約73億円を交付、初年度の平成22年度の交付金は約8億8千万円、二年目の平成23年度の交付金は約8億6千万円、三年目の平成24年度の交付金は約7億5千万円となっている。

 

 財政抑制に取り組まなければならない中、10年間で実に約73億円もの交付金支出の決定。その理由を探ることは、内容が違うものの存続に黄信号が点灯している民間鉄道の岳南鉄道に対し、当局が存続に向けての営業助成として平成24年度から向こう三年間、年間6,500万円、総額1億9,500万円の補助金支出の方針を打ち出し、これを受け営業助成初年度となる平成24年度の補助金支出を賛成多数で可決した議会にとって「今後の岳南鉄道の営業助成の対応に向け、何らかの示唆が得られるのでは…」と佐世保市に向かった。

 

 

視察内容 まちの再生・再生支援交付金について

 

 佐世保市では、議会事務局の次長兼議会運営課長の北村義治氏の出迎えを受け、議会会議室で歓迎の言葉を受けた後、会派「耀(かがやき)」代表の望月議員が受け入れへの感謝と視察目的を伝え、再生支援交付金の説明は担当課である企画部政策経営課の山田哲也、岸川孝司両氏から受けた。


          佐世保市庁舎玄関前で…
     
 

まず、佐世保市が再生支援交付金の交付を決定、平成22年度から支出しているハウステンボスとは…。

 

 ハウステンボスは、大村湾北端に面した佐世保市針尾島の早岐瀬戸に接する部分に位置し、総開発面積は152ヘクタール(461干坪)。現在の東京ディズニーリゾート(ディズニーランド+ディズニーシー)とほぼ同じ。単独テーマパークとして連続した敷地面積では群を抜いて日本最大。

 この敷地の大部分は江戸時代に干拓された水田地跡。太平洋戦争時に軍に接収された後、ごく短期間、広島県江田島の海軍兵学校分校が置かれた。

大戦終結後には、厚生省佐世保引揚援護局が置かれ、針尾島西部の浦頭港に帰着した船舶から上陸した引揚者は、ここまで徒歩で移動し、休息救護を受けた歴史がある。この地で休息後、もよりの国鉄南風崎駅から故郷への帰宅の途についた。

引揚援護局閉鎖後は、陸上自衛隊針尾駐屯地を経て、その後、長崎県に払い下げられた。県は、針尾工業団地として造成を行ったが、工業用水供給の問題などから企業誘致が進まず、手つかずのままだった。

議会で毎回のように批判を浴び、頭を悩ませていた県は、大村湾西岸でテーマパーク運営で成功していた長崎オランダ村に注目。長崎オランダ村株式会社(当時)も長崎オランダ村付近の交通渋滞が著しかったことなどから長崎オランダ村を発展的に大規模に拡大した施設を新たに建設した。完成後、商号変更を行い、現在のハウステンボスに至っている。

ハウステンボス(Huis Ten Bosch)は、オランダで「森の家」。オランダ女王のベアトリクスが住むハウステンボス宮殿Paleis Huis ten Bosch)を再現した事から名付けられている。

開園は平成4年3月で、観光都市・佐世保市の象徴的な施設として君臨していたものの、経営難に陥り、平成15年に会社更生法の適用を申請。野村プリンシパル・ファイナンス株式会社が支援に名乗りをあげ経営再建に乗り出したものの、同社は平成21年に撤退を表明。新たに株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)が支援に名乗りをあげて経営に参画、官民あげての支援が行なわれた結果、会社更生法に基づく更生手続きが終結を迎え、平成22年4月に新体制でスタートを切っている。

この新たなスタートに向けてハウステンボス側は、平成22年1月に佐世保市に支援を要請。これを第一歩にして佐世保市では多角的複眼思考をもって支援の必要性を検証。その結果、平成22

年度から原則10年間、固定資産税・都市計画税に見合う交付金とし総額約73億円の再生支援交付金の支出を開始している。

 

説明で職員は、交付金支出に向けての調査結果を示し、開業後のハウステンボスが抱え込んでいた問題点として、「開業までに2,000億円を超える投資、過大な有利子負債」「入場者数の計画未達成などが続き、開園後も有利子負債が膨張」「長期化した不況の影響を受け売り上げが減少」「硬直した収支構造」の四点をあげた。

その上で、ハウステンボスが閉園になった場合を想定しての佐世保市の影響を考察。その結果を職員は、「1,000人以上の従業員の雇用喪失、年間350億円以上の地域経済のダメージ、連鎖倒産の可能性など、さまざまな影響が懸念される。また、重要な観光拠点を失うだけでなく、佐世保市にとってかけがえのない“まち”を失ってしまうことになる」とし、「一企業への支援という意味ではなく、大きな経済ダメージから市民を守り、佐世保市のまちづくりに欠かせない“まち”であるハウステンボスを再生・発展させるために支援することを決定した」とした。

さらに職員の説明は続き、「平成20年における佐世保市の年間観光集客数は448万人、そのうちハウステンボスの来場者割合は約45%を占める202万人に達している。閉園となった場合、市にも直接的な影響があり、ハウステンボスと、そのグループ会社や近隣ホテルなどの固定資産税、都市計画税、法人市民税及び個人市民税など年間で総額約113,000万円の税収減収を招き、上下水道料金収入の減収も年間約24,000万円が見込まれた」と述べた。

つまり、ハウステンボスは民間経営のテーマパークであるものの、その巨大さからして佐世保市にとって閉園は何としても避けなければならないこと。閉園阻止、存続に向けての支援は閉園危機に対しての唯一の選択肢といえるものだった。

 

佐世保市が打ち出した支援の再生支援交付金は、平成22年度から原則10年間、ハウステンボスの固定資産税・都市計画税に見合う総額約73億円。巨費であるものの市民の“血税”ではなく、その交付金額の設定には説得力がある。

しかし、この交付金支出をもっても経営が改善されなかった場合、追加の支援要請が予想され、その際は市民の“血税”の投入を余儀無くされ、市民から強い反発も予想される。

 

職員は、「新体制でスタートを切ったハウステンボスは、入場料の改定(引き下げ)や営業時間の延長、新エンターテイメントのスタート、外国人観光客誘致に向けての外国語を公用語とするホテルの再開や医療観光の取り組みなどで入場者数が増加に転じ、経費節減策も奏功して黒字に転じている」と語った。

これにより追加支援の不安は、現状、解消されているものの、新たな問題として「なぜ、黒字に転じた民間企業を市が支援する必要があるのか」が浮上している。

 

 この点について職員は、ハウステンボスが経営難に陥ったことは巨額の投資と過大な有利子負債を抱え込んで開業したことにより、人気を保つための新たな施設整備への取り組みができなかったことを示し、フリーゾーンの新設やアトラクションのリニューアル、さらに「ガーデニングワールドカップ」や「世界花火競技会」などのスポットイベントで新しい顧客層の誘致にも取り組む計画が打ち出されていることをあげて「黒字に転じたものの、新たな投資が必要になる」とし、「今のところ交付金支援の削減や停止は考えていない」とした。

 ただ、現行のハウステンボスの固定資産税・都市計画税に見合う交付金の支出に対しても「反対」とする市民の声が届き、「議会内部にも反対を主張する声がある」とのことだった。


     
佐世保市庁舎内の議会会議室で説明を受けた


視察所感            

 

 今回の行政視察は、日程的に現地視察はできず、ハウステンボスの概要を直接的に把握することはできなかった。よって佐世保市におけるハウステンボスの存在意義と、「何としても閉園は避けなければ…」が行政命題である、その存在価値はデータからの推測となったが、懇切丁寧な職員の説明と相俟って再生支援交付金の交付をもっての支援を理解することができた。

 視察の結論は、佐世保市においてハウステンボスが閉園になった場合、それを埋める観光客集客手段はなく、好むと好まざるにかかわらず再生支援交付金の交付をもっての支援は、支援というカテゴリーを超えた必然性をもった行政施策、それである。

 この佐世保市の取り組みを、存続に黄信号が点灯しているが岳南鉄道に置き換えた場合、当局が打ち出した存続に向けての営業助成として平成24年度から向こう三年間、年間6,500万円、総額1億9,500万円の補助金支出は、果たして必然性をもった行政施策といえるか…。

 我々、会派「耀(かがやき)」の見解は、「初年度の支出には可決に応じたものの、二年目以降の支出に向けては、将来見込みや、代替輸送の検討と、そのコスト計算など、微に入り、細をうがつ考察が必要」である。

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