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富士市の震災がれきの処理について

 市長が震災がれき本焼却への意欲示す

 

 きょう1月30日、全議員出席の非公式会議である富士市議会全員協議会(以下、全協)が開かれました。全協は、公式会議の場である定例会を前に当局が重要案件を事前に議会に報告して理解を求める場合や、議会の決議を必要としない重要案件の報告、さらに議会独自に議員全員出席の下で協議する事項がある場合にも開かれます。

 

 30日の全協は、当局が開催を求めたもので、「災害廃棄物(木くず)の広域処理について」「全事務事業総点検結果の概要について」「富士市債権管理条例について」「富士市公設地方卸売市場の民設民営化について」の四項目を報告。

 

 そのうち、きょうのブログは、「災害廃棄物(木くず)の広域処理について」を記します。

 

 2011年3月11日に発生、日本の地震災害史上、未曾有の甚大な被害をもたらした東日本大震災では膨大な震災がれきが発生。その処理について国は、「災害復興には、まず震災がれきの処理が必要」とし、その処理量が膨大であることから広域処理方針を打ち出し、都道府県を窓口にする形で受け入れを要請。昨年3月の段階で静岡県には、岩手県の山田、大槌両町の7万7千トンの木くずに限っての処理要請がありました。

 この要請について富士市議会は、安全性の確認を条件にして「東日本大震災によるがれき処理の推進」を決議しています。

 

 県内では、富士市をはじめ島田市、裾野市、静岡市、浜松市が受け入れを表明、試験焼却に取り組んで安全性を確認。そのうち昨年末までに「受け入れの条件をクリアした」として島田、裾野、静岡、浜松の四市が本焼却、最終処分に取り組んでいます。

 

 しかし、富士市は、受け入れを表明、昨年6月に試験焼却に取り組み、「安全性が確認された」として本焼却に向けての準備作業に着手したものの焼却灰の最終処分(埋め立て)をめぐって地元との交渉に時間を要し、現在は、試験焼却終了の段階。

 

 こうした中、当初、国が示した静岡県への受け入れ要請7万7千トンは昨年8月、被災地での処理が進み2万3500トンに削減。さらに今年1月になって国が公表した工程表では、県内四市の処理が進み、これに加えて「仮置き場に搬入されたがれきの隙間が想定より少なかったほか予想以上の土砂混合もあり、木くずとしての処理量が大幅に減少した」を理由に受け入れ要請を3500トンとし、処理工程表から「ここまま四市での処理が進めば、概ね今年3月までには終了」の見通しです。

 

 昨年11月に最終処分場の地元の理解を取り付け、「これから本格的な受け入れを、本焼却を」と力を込めていた富士市は肩透かしをくらった形となったものの、市は1月24日と同26日にロゼシアターなどで市民に向けての説明会を開き、本焼却受け入れに向けての準備を整えています。

 

 30日の全協で鈴木尚市長は、震災がれきの本焼却受け入れに向けての一連の取り組みを報告。その上で1124日、26日の市民説明会の場では依然として「反対だ」の意見が出たことをとらえる形で、「多くの市民に(受け入れへの)理解を得ていると受け止めている。富士市として焼却処理の安全性が確認できたと判断している。最終処分場への埋め立てに理解が得られた。これに専門家の見解も踏まえ、本焼却を受け入れていく」と言明。

 また、国の静岡県への受け入れ要請が大きく削減、「概ね今年3月までには終了」の見通しについては、「国から示されたもので、これを受けた県で受け入れ量の見直しが行なわれる予定。県の新たな計画で(富士市に)受け入れの要請があれば受け入れていく」と述べ、量がどうであれ、安全性を確認、難航していた最終処分場の地元の理解を得て条件が整った以上、県から新たな計画によって受け入れ要請があれば対応するとの姿勢を明確に示しました。

 

 つまり、「本県の受け入れ分が終息に近づいている」は関係なく、富士市として、できる限り被災地支援をしていく、その姿勢を改めて示したものです。

 今後、大きく削減された震災がれきに対しての県の新たな計画を待つことになりますが、その量が極めて少ないものであっても本焼却をもって富士市の震災がれきの処理に協力した“史実”が残ってほしい、そう願っています。

 

 

 広域処理の凍結主張との矛盾について

 

 ところで、自分は、昨年5月1日付けのブログに「震災がれきの広域処理は凍結すべき」の一文を記しました。

 

 この時点での震災がれきの広域処理に対する自分の基本的な考えは、「放射能汚染を拡大するものと声高に反対を主張する声があるが、安全性が確認されれば受け入れるべき」でしたが、その一方で「莫大な費用を投じて遠方まで運んで焼却処理するのではなく、現地で震災がれきの活用を考えるべきではないのか」や「震災がれきの木材チップ化やタイヤチップ化を図り、それを火力発電の燃料にすることはできないのか」などの思いも抱いていました。

 

 こうした中、野田佳彦首相(当時)が4月23日のTBS番組収録で「東日本大震災で発生したがれきを盛り土形式で使う防潮林整備について対象となる青森県から千葉県までの沿岸部約140キロのうち約50キロ分を本年度中に着手する」と表明。これに続いて5月1日の朝刊に岩手県大槌町で震災がれきを土台とし、その上に樹木を植える『森の防潮堤』の試験造成がスタートしたことが報じられました。

 

この情報を受けて「震災がれきの広域処理は凍結すべき」のブログ、主張となったものです。この主張は、今でも「間違ってはいない」、その思っています。

 

となると「量が極めて少ないものであっても本焼却をもって富士市の震災がれきの処理に協力した“史実”が残ってほしい」の今回の主張と矛盾することになりますが、処理要請する震災がれきの量が大きく削減されても、処理要請が続いていたのは「広域処理をもって一日も早い処理の完了を」の被災地からのメッセージであり、「凍結よりも優先すべき現実」と受け止めています。

これを矛盾した二つの概念を、より高い概念としていくアウフヘーベンとしていきたい、そう思い、「理解してほしい」と願っています。

 

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