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富士市に産業遺産の第1号誕生なるか!

 所在区の富士市鷹岡地区で地区内の歴史や自然などの郷土遺産を活かしたまちづくりが動き出しています。2月5日には鷹岡まちづくりセンターで、まちづくり推進会議の役員や関係機関、企業代表などが参加しての初の「地域活性会議」が開かれ、確かな第一歩を踏み出しました。

 

 鷹岡地区では、潤井川の豊富な水と紙の原料である木材を入手しやすい地の利などから明治23年(1890年)に富士製紙第一工場(現・王子エフテックス)が操業を開始。この地域では初の機械製紙で、“製紙発祥の地”とされ、現在も赤レンガ造りの倉庫や水力発電施設が操業当時の面影を伝えています。


         潤井川の豊富な水を利用


         水利使用許可を示す標識
 

 このほか、鷹岡地区には、日本三大あだ討ちの一つとされる曽我物語ゆかりの神社・寺、馬車鉄道の史実、明治以降の建築史を伝える貴重な物件、自然の造形美である『立願淵伝説』のある龍巌淵、地質学の面で貴重な入山瀬溶岩流などの郷土遺産があることから、ここ数年、「この地に残る郷土遺産を再認識、郷土遺産を活かしたまちづくりに結び付けたい」の声が台頭。

 

 こうした中、各種団体で組織するまちづくり推進会議は、二年前から市長行政懇談会の場で、そうした郷土遺産を活かしたまちづくりへの行政施策を求め、さらに昨年3月には建築士を中心に組織するまちづくりボランティア団体、まちづくりネットワーク富士が富士建築士会と富士市商工会の後援を得て『紙のまち鷹岡再発見〜親子でお宝探しツアー〜』と題したウォーキングツアーを開いています。


 

 昨年3月に行なわれたウォーキングツアーでは
                  赤レンガ造りの倉庫を見学



 
ツアーでは、王子エフテックス入口付近の鷹岡本町商店街ポケットパーク内に建てられている『夜明けの像』と命名されている製紙業のマスコット像も見学。この場所には馬車鉄道駅舎の跡地を示す碑もあります

 

 5日の初の「地域活性会議」は、これまでの取り組みの上に立ってまちづくり推進会議がまちづくりセンターと共同歩調で「実現への第一歩に…」と企画したもの。市からは観光課、工業振興課、文化振興課など。このほか富士建築士会、富士市商工会、富士山観光交流ビューローなどの職員、郷土遺産の基軸である王子エフエックスからも地域との窓口となる総務課の社員が参加。初の開催とあって「郷土遺産を、どう活かすか」をテーマに自由に意見を交換しました。

 

 所在区の市議会議員にも参加要請があったことから参加。自分が意見交換で注目したのは文化振興課が提示した「歴史的建造物を保存するための文化財指定制度と登録制度」でした。

 “製紙発祥の地”を今に伝える王子エフテックスの赤レンガ造りの倉庫や、潤井川の水量と落差を利用しての水力発電施設などは富士市の産業遺産の第1号とすべき価値あるもので、そのためには富士市文化財保護条例を根拠法令とする文化財指定や、国の文化財保護法を根拠法令とする文化財登録原簿への登録などが必要。王子エフテックスは操業中の企業であるものの操業中であっても指定や登録は可能とされており、今後の王子エフテックス側の産業遺産としての指定・登録に向けての前向きな検討が期待されるところです。

 自分は、鷹岡地区の郷土遺産の基軸である王子エフテックスの貴重な産業遺産の指定・登録が郷土遺産を活かしたまちづくりの土台になる、そう判断しています。

 

 5日の初の「地域活性会議」では、そうした産業遺産化や、潤井川渓谷の遊歩道の整備などを図っての観光客の受け入れなどの将来構想の描いての意見も出されましたが、まとめとして「今後、郷土遺産への調査と、その価値の発信」に取り組むことを確認。さらに王子エフテックスには、操業中という点を踏まえつつ小学校の社会科見学や、地区主催による区民を対象とした見学会の受け入れなどを要望しています。

 

 このブログの最後に、記者時代に富士地区の産業史を執筆したことから「市長行政懇談会に提示する資料の作成を」とまちづくり推進会議から要請を受けて調査、執筆した『鷹岡地区における自然遺産、産業遺産の考察』と題した一文を以下にアップします。鷹岡地区のみならず富士市を代表する郷土遺産に位置付けられることを願って…。

 

 


 鷹岡地区における

    
        自然遺産、産業遺産の考察

 

 潤井川は、富士宮市上井出小芝の道路公団橋を起点に田子の浦港を経て駿河湾に流入する延長25・4キロメートルの一級河川である。

 そのうち富士市鷹岡地区最西部にあたる石の宮橋から龍厳橋までの区間の1・1キロメートルは新富士火山の活動期による入山瀬溶岩流が横断した部分であり、ゴツゴツとした溶岩からなる急な河床が続いている。

 この入山瀬溶岩群の河床には、木曽川上流の寝覚ノ床が全国的に知られている「ポットホール」と呼ばれる急流性河川の河床や滝壺などに生じる特異な円筒型の穴が多数存在。『鷹岡町史』によれば、「石の宮橋近くの河床には10センチから2メートルの大きさまで、かなりの数が確認できる」と記されている。

いずれにせよ、河川の長年の浸食により出現した「ポットホール」は、自然の力の偉大さを伝える貴重なものである。

 また、この入山瀬溶岩群の河床には、地元で「ヤスガ渕」と呼ばれている場所を中心にして素晴らしい自然美の渓谷が形成され、「ポットホール」の存在も合わせ、是非とも後世に残したい自然遺産といえるのではないか…。


 

         「ヤスガ渕」の自然美です

 

さらに、入山瀬溶岩渓谷は、産業遺産としての価値も有している。

1890年(明治23年)10月、富士市鷹岡地区内の入山瀬に日本の近代製紙の第一歩となる富士製紙第1工場が開業している。潤井川の豊富な水、そして入山瀬溶岩渓谷の急流性による水力に着目しての工場建設、開業だった。

地場産業である製紙の原点ともいえる場所であり、いまもなお入山瀬溶岩渓谷一帯には、自然流水の取り入れ用水路や水力発電施設などが存在、これらは先人が自然の力を巧みに利用し近代産業発展に結び付けた知恵を今に伝える産業遺産としての価値が極めて高いといえるのではないか…。

 

※参考文献 

 『鷹岡町史』(昭和59年3月、富士市発行)

 『地域の歩みと産業〜変革期の道標として〜』(平成8年6月、富士商工会議所発行)

 
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