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視察研修(愛知県名古屋市、刈谷市)パート

 自分、海野しょうぞうが所属する富士市議会の会派「耀(かがやき)」は、2月8日、同9日に愛知県の名古屋市と刈谷市に行ってきました。

会派研修の一環で、名古屋市ではNHK名古屋放送センターを会場に開かれたNOMA(一般社団法人日本経営協会)中部本部主催の講座「地方議員のための政策法務」を受講、刈谷市では「刈谷ハイウェイオアシスの取り組み」を把握してきました。

この会派研修の状況は、報告書にまとめて議会事務局に提出しましたので、このブログにも二回シリーズでお伝えします。

通常、ブログは口頭語で記していますが、報告書は文章語で記した関係で、ブログへのアップも文章語表記となっています。ご了承下さい。

 

 

 NOMA(一般社団法人日本経営協会)中部本部主催


 「地方議員のための政策法務」

   
   研修期間  平成25年(2013年)2月8日(金)

  研修場所  愛知県名古屋市・NHK名古屋放送センター

 

【目的】

 従来の地方議会は、執行部側の提出した条例案や決議案を審査して否決、または追認、あるいは一部修正の上で賛成するという受動的な役割がほとんどであった。

 しかし、議会が執行部側の暴走をチェックするという役割を有することは重要であるものの、二元代表制のもと、選挙で選ばれた地方議員が地域住民の代表として地方行政に関与するという地方議会の本来のあり方を考えた時、地方議員が地域住民の立場から行政ニーズをくみ上げ、積極的に立法行為に関わっていくこと、すなわち議員立法を重視すべきという意見が台頭している。

 特に地方分権一括法以降、議会の議員立法の権能行使が強く求められているが、行使にあたっては議会事務局機能の見直しも含め議員の政策法務能力のスキルアップが課題となっていることも、また事実である。

こうした中、我々富士市議会の会派「耀(かがやき)」は、政策法務能力のスキルアップを目指してNOMA(一般社団法人日本経営協会)中部本部が企画した行政管理講座「地方議員のための政策法務」を受講した。

 

【研修内容】

 講座名 「地方議員のための政策法務」の講師は自治体法務研究所代表の江原勲氏。 中央大学法学部卒後の昭和39年、東京都職員となり、法務専門官の道を歩んで都に持ち込まれる行政事件訴訟や 民事訴訟事件、行政不服審査などを担当。平成13年に法務局局務担当課長をもっての退職後に 自治体法務研究所を設立している。

 東京都は、都に持ち込まれる訴訟及び行政不服審査などは弁護士や司法書士に依存することなく、すべて都職員である法務専門官が、その処理を担当。よって行政法、民法、地方公務員法、地方地自法、公文書作成などを専門分野とする江原氏は、実践に基づき、その趣旨や対応を解説する政策法務指南者として知られ、退職後、各種自治体研修所において法令科目の講師を担っている。

 今回の講座は午前10時から午後4時までの長丁場であったものの、江原氏は早口で、戸板に水のごとく「地方議員のための政策法務とは…」を語った。


 

    「政策法務とは…」を説く江原氏

 

 その講座は次のような流れで進んだ。

1.自治体の政策法務とは何か

   自治体の政策法務(自治体の政策実現を最も望ましい法制度として設計していく作業を政策法務という)

   平成11年までの従来型法務(国→法を立案→国の意思決定→地方は実践部隊→機関委任事務が担保)

   地方分権の時代へ(機関委任事務の廃止に伴う諸規定の整理→地方分権一括法)

   地方分権一括法

   地方公共団体の執行機関の役割

   地方議会の役割

2.自治体議員の政策法務の位置付け

   議員の政策法務能力

   自主的な法令解釈

   訴訟法務

   法定外税の創設

3.自治立法権

   自治体の自主立法権

   条例の制定と憲法上の限界

   法令との抵触

4.政策法務と条例の立案

   政策課題の認知とルールの必要性

   政策形成の検討

   立法事実

   立法方針

   条例制定の可能性

 

 これらの中で我々が注目したのは「3.自治立法権」である。

 自治体の立法権は、憲法94条、自治法14条、15条などを法的根拠とし、憲法94条では「地方公共団体は、さまざまな地域の事務を実施するが、これらの事務を実施するに際して条例を制定することができる」と定めている。

 また、条例とは、「地方公共団体が自己の有する自治権に基いて制定する自主法」としており、広義の意味では、「長の制定する規則、各種委員会の制定する規則を含むが、形式的には議会が地方自治法22項の規定する事務及び法律の特別の委任がある事項について定める法規」。つまり、条例は地方公共団体の事務に関する事項しか規定できないものの、その範囲内では原則として国家法とは関係なく独自に規定を設けることができるものとされている。

 

 一方、条例の制定と憲法上の限界について江原氏は、「地域の事務であれば住民の基本的人権も原則として制約できるとするのが現在の通説。したがって公安条例や青少年保護条例による表現の自由の制限や営業の自由の制限等もただちに違憲とはならないが、憲法を尊重し、基本的人権の尊重の確保への留意が必要であり、基本的人権の制限規定については、明白かつ現在の危険の理論や明確性の原則の検討が必要である」とした。

 

 この「3.自治立法権」の運用面で江原氏は、「条例で規定しようとする事項に国の法令がある場合でも条例規定は可能である」とし、そのケースとして、以下のような事例を示した。

イ) 国の法令と同一の対象、事柄であっても条例の目的が異なる場合(目的外)

ロ) 国の法令と目的と同一であるが、その対象事柄を異にする場合(横出し条例)

ハ) 国の法令が同一目的、同種の事項の一部について当該地方の事情に応じて規定(上乗せ条例)

 

 江原氏は、「これら国に法令がある場合でも条例規定が可能性である」とする実践として「空き地・ごみ屋敷等の対策条例(質問調査と立ち入り権)」「草刈り条例(行政代執行)」「放置自転車撤去条例(即時強制)」「資源ごみ持ち去り禁止条例(罰金等の刑罰)」をあげ、その事例提示をもって「国に法令がある場合の条例規定は、法令規制に実効性を持たせる手法でもある」とした。

 

 しかし、江原氏は、全国各地から講座に参加した地方議員に地方分権一括法以降、議会の議員立法の権能行使が強く求められていることを力説し、条例規定が法令規制に実効性を持たせる手法であることを説きながら、その一方で条例立案にあたっては、以下の注意点を示した。

A)   現況の調査(事実・実態の正確な把握)

B)   現状の分析・評価(発生原因の究明)

C)   適切な手段・方法の選択(規制の必要の有無)

D)   地域ニーズの見定め

E)   立法による規制の必要性、正当性の検討

F)   憲法及び既存の法令等との整合性

 

 講座で江原氏は、全国市議会議長会の資料として平成23年1月から同12月までの一年間に議員提出による新規の政策的条例案を提示した。議員から提出された市は87市、その条例提出件数は159件。議決形態は、次の通りである。

 

 ・否決    91件

 ・原案可決  52件

・継続審議   6件

・審議未了   4件

・修正可決   2件

・撤回     2件

・その他    2件

 

 原案可決52件のうち“身内条例”といえる「議会基本条例」及び「議員政治倫理条例」が合わせて半数近くの23件となっている。

 この議員立法の権能行使に向けてのベースでもある“身内条例”の多さと、否決が全体の56.7%にあたる91件を数えていることは、議員立法の権能行使が萌芽の域であり、かつまた議員立法による政策的条例制定の難しさを示したものと受け止めることができよう。

 

 

【研修所感】

 富士市議会は平成23年4月1日に「議会基本条例」を施行している。

実は、我々会派「耀(かがやき)は、条例施行前の3年前にも東京都内で開かれた江原氏による行政管理講座を受講、その講座も今回と、ほぼ同様の内容であった。

しかし、条例制定前であり、江原氏が力説した「地方議員には地方分権一括法以降、議会の議員立法の権能行使が強く求められている」を「これからの課題」と受け止めた。

「議会基本条例」を制定後の今回の受講では、その権能行使を今日的課題として突き付けられたが、その一方では、議員立法による政策的条例制定の難しさを江原氏提示の議決形態をもって認識。

 率直な研修所感を記せば、議員立法による政策的条例制定に向けては情報の共有や、議会全体として事前協議を重ねることも重要であり、議員提出の政策的条例案が可決という結果が出ず、不首尾に終わった際には、如何に熱意をもって取り組んだとしても市民から「議員、あるいは会派のパフォーマンスだ」との批判を受けることになりはしないか。結果を重視しての取り組み、これを頂門の一針としてきたい。

 同時に、以下に示す、富士市議会の「議会基本条例」で議員の活動原則を定めた第3条と第3条の(2)と(3)を改めて胸に刻む必要性を自覚した講座でもあった。

 

 第3条 議会は、合議制の機関として、常に公平性、公正性及び透明性を確保し、次に掲げた原則に基づき、活動しなければなりません。

(2)政策提案機能を積極的に活用できるようにすること。

 (3)意思決定に当たって、議員間の自由な討議を通じて論点及び
    争点を
明らかにし、合意決定に努めること。

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