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元死刑囚の鑑定書出版の是非

 最近の新聞記事で目にとまった「元死刑囚の鑑定書出版の是非」、以前、マスコミ界に籍を置いた者として、あれこれ考えさせられるものでした。

 

 記事は、「2001年6月に発生した大阪教育大学付属池田小学校の校内児童殺傷事件の犯人(2004年に死刑執行)を精神鑑定した医師が近く鑑定書のほぼ全文を掲載した一般書を出版する」と伝え、その鑑定書には「自分の命は何十万人の命よりも重たい」「(亡くなったのが)8人程度で(死刑は)割に合わない。納得できへん」「人を殺すことを考えたらモリモリと元気が出てきた。もう道連れで、行きがけの駄賃みたいな感じで無茶苦茶やったろうと思った」など告白の生々しい言葉が記されていること、さらに精神医学の専門家の「症例研究が大切な精神医学にとって重大事件の鑑定書は非常に学ぶべきところが多く有意義」「故人には個人情報保護法が適用されないが守秘義務は残る。研究目的とするならば学会誌などで発表すればよく、一般書として出版する必要はない」と、相反する意見も記されています。

 

 この記事に接して思うことは、「精神医学の研究のために…とは別の次元で、鑑定書が一般書として世に出ることは、日本において古くて新しい課題である死刑制度の存廃を考察する上で重要ではないか…。被害に遭われた家族の方々にとっては、消し去りたい悲劇を思い起こし、新たな怒りを覚えることになるものの、動機から犯行、そして死刑判決までのプロセスを知ることのできる貴重な資料であり、それはまた人間としての存在価値を問う資料ともいえる。死刑制度を存続しつつも犯行結果だけをとらえての安易な死刑判決の回避にも結び付くのではないか…」です。

 

 国民が裁判官とともに責任を分担しつつ協働して裁判内容の決定に主体的に関与する裁判員制度が日常となっているだけに「知る権利としての情報だ」、そんな思いも抱いているのですが、皆さんは、どう思われるでしょうか。

 

 この自分の思い、作家吉村昭氏の著書『仮釈放』がベースになっています。

 
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