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研修報告(第15期自治政策講座in横浜)パート
 

【第4講義】

 

演  題:『コンパクトシティ
       〜人口減少に対応した都市計画とは〜』

講  師:筑波大学名誉教授 大村謙二郎 氏

 

講師プロフィール】 1947年生まれ。1971年に東京大学工学部都市工学科卒業。計量計画研究所都市計画研究室研究員を経て1974年よりドイツ・カールスルーエ大学で都市計画を研究。1984年より建設省建築研究所第一研究部建設経済研究室長、1994年より筑波大学社会工学系教授、2004年より筑波大学大学院システム情報工学研究科教授、2012年より筑波大学名誉教授。著書に『都市計画の地方分権−まちづくりへの実践』(共著、学芸出版社)、『日本の都市法<1>構造と展開』(共著、東京大学出版会)など。



        
講義中の大村氏

 

 

講義内容

 

 講師の大村氏は、大筋、講義を次のようなステージ分類で進め、日本の今日的課題である人口減少に対応した都市計画について語った。

 

 第1ステージ…日本の人口減少とコンパクトな成熟社会に向けての
        課題

 第2ステージ…ドイツの人口減少化時代に対応した都市計画プロジ
        ェクト

 第3ステージ…コンパクトシティに向けた目指すべき施策の方向性

 

 まず、「第1ステージ…日本の人口減少とコンパクトな成熟社会に向けての課題」について大村氏は日本の人口予測を提示。「200412月の12,784万人をピークに今後100年間で明治時代後半の100年前の水準に戻るとされている。この変化は千年単位でみても類をみない極めて急激な減少」とし、具体的な人口予測数値には、「日本の総人口は2050年には9,515万人と予測され、約3,300万人、率で255%も減少。しかも65歳以上の人口は約1,200万人増加するのに対し、生産年齢人口(15歳〜64歳)は約3,500万人、若年人口(0歳〜14歳)は約900万人減少。その結果、高齢化率も20%から40%にはね上がる」とした。

 その上で20世紀から21世紀初頭にかけての日本の都市計画と住環境整備を紐解き、その特質や課題を「日本の市街地は用途、機能、形態が混在し、かつまた市街地が拡散的に広がり、自動車依存型の地域も多い。住宅地及び住宅については、町割りや敷地割りが不安定で、敷地が細分化され、住宅の建て替え・更新の速度も速い」とした。

 

 この状況分析をもとに「第2ステージ…ドイツの人口減少化時代に対応した都市計画プロジェクト」に話を進め、ドイツのさまざま人口減少化時代に対応した先進的、英断的な都市計画を紹介。

 その中で将来を担う都市計画の重点テーマとして「多様性を持つ中心市街地の保全と中心サービスエリアの強化」「広域的展開の中での都市間の連携・強化」「高齢社会に対応したインフラの整備」「都市及び環境にとって適正なモビリティの確保・創出」「経済拠点・イノベーション拠点としての都市の強化」「多様性あふれる小売り商業の保全‐中心市街地のサービスエリアの強化」「自治体計画と民間投資の連携、協働の改善」などを提示した。

 

「第3ステージ…コンパクトシティに向けた目指すべき施策の方向性」については、まず、市街地のコンパクト化を求める社会的背景として「人口・世帯の減少」や「高齢化の進展」のほかに、「緊縮財政」「伸び切った市街地の維持管理の社会的コストの増大」などをあげ、「コンパクトシティに向かうことは都市機能の持続維持のためには避けられない選択である」とした。

 そしてコンパクトシティに向けた目指す施策の方向性を「郊外開発にブレーキをかけ、市街地を見直し、魅力的な整備をすべき。住みたい人、投資したい人を増やすことが必要であり、絵(都市計画)を描くだけでなくフィジカルな取り組みも必要」とし、最後は「まず地区診断から取り組むべき」を受講者に投げ掛けた。

 

 

受講所感

 

 大村氏は、コンパクトシティへの取り組みの必要性を力説しながらも「都市間競争が激化、都市の経営力や発想、企画力が問われているが、過剰競争により共倒れの危険性もある」と述べ、これに「それぞれの都市・地域の風土、歴史に対応した政策が必要。画一的、一律的な都市・地域像は存在しない」を加えた。


 コンパクトシティへの取り組みを観光振興への取り組みと置き換えた場合も同じといえる。「画一的、一律的な観光振興施策では無駄な投資になりかねない」という想定分析である。


「オリジナリティに溢れた都市の魅力づくり → 観光振興という富の連鎖となるコンパクトシティ」、この指針を得たことを受講の成果としたい。

 

【用語解説】

※イノベーション…技術革新

※フィジカル…物質的な環境

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