8月7日と8日の購読紙に、かなりのスペースで中部電力、日本製紙、三菱商事の三社が富士市内に石炭火力発電所を建設。その電力を中部電力が買収を予定する電力小売会社のダイヤモンドパワーを通して販売する事業計画が掲載されました。
記事によれば、「火力発電所の建設地は昨年9月で生産を停止した今井の日本製紙富士工場鈴川事業所内。稼働開始は3年後の予定で、総事業費は250億円前後。稼働すれば県内唯一の火力発電施設となる。複数の関係者によると、発電規模は11万から12万キロワットとみられ、富士市の人口(約26万人)の一般家庭分をまかなえる電力量。ボイラー燃料は石炭で、所有するチップヤードに保管。従業員は日本製紙社内で配置転換するほか不足分は新規に雇用する予定」。
この石炭火力発電所建設計画のほか2年後には王子ホールディングスが子会社の王子マテリア富士第1工場に木質バイオマスなどの発電事業に着手する予定とされており、「かみの町・富士市」は「エネルギーのまち・富士市」に…。工業都市のリノベーションといったところです。
東日本大震災以降、脱原発が大きなうねりとなり、電力市場は変革が突き付けられています。加えて富士市は工業都市であるものの、その消費電力は遠方からの送電に頼っていることも含め、「エネルギーのまち・富士市」に向かうことは持続可能な工業都市の布石ともいえそうです。
しかし、です。
かつて富士市は著しい大気汚染や水質汚濁などの問題を抱え込んで「公害のデパート」といわれ、「工業都市に必要だ」と計画された東京電力による富士川火力発電所建設では激しい反対運動から計画が白紙になるなどの史実があるだけに、それを教訓として、計画遂行に向けては十二分の情報公開と説明を大前提とすべき。市とともに市議会の責任は重い。そんな思いで今回のホットなニュースを受け止めています。