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日本製紙富士工場鈴川事業所敷地内に計画されている石炭火力発電所とは…

 富士市議会9月定例会は、きょう10月9日、最終日を迎え、午前中に2人の一般質問が行われ閉会。午後から議会委員会室で議員研修会が開かれ、鈴川エネルギーセンター、日本製紙、中部電力の三者から日本製紙富士工場鈴川事業所敷地内に計画されている石炭火力発電所の概要報告を受けました。

 三者のうち鈴川エネルギーセンターは、日本製紙が20%、中部電力が10%、それに三菱商事が70%の出資比率をもって設立された発電事業を担う新会社です。

 概要報告と、それを受けての感想を記します。

 

 下記にアップした文書は、配布を受けた資料の一部です。

 記されている内容は、鈴川エネルギーセンターの設立は平成25年9月4日。設立時の資本金は4,300万円。発電設備の運転・維持・管理及び電力の供給・販売を業務とし、発電出力は約10万KW。燃料は石炭。平成26年5月に建設工事に着手、平成28年5月から営業運転の開始を予定などです。


 

 

 概要報告では、「事業の背景」として、「平成23年3月11日に発生した東日本大震災で原子力発電所が停止、これにより老朽火力発電所や、高コスト燃料(重油や天然ガスなど)の発電所が再稼働したことによる電力料金のアップが社会生活や経済活動を圧迫」をあげ、富士工場鈴川事業所敷地内に建設する理由には「電力の大消費地である首都圏に近接」「発電事業が可能な敷地を保有」「田子の浦港を使った石炭の安定調達が可能」などをあげました。

 

 初歩的で、かつ重要な疑問である「なぜ、今、低炭素社会への移行が求められる時代にあって石炭火力なのか」については、「電力の安定供給には、集荷量が限られ、ばらつきが大きいバイオマスは適切でない。石炭は産出国、埋蔵量ともに多く、安定的に集荷できるため」とし、大気、粉塵などの防止対策を示しながらダイオキシンの発生不安については「燃料として使用する石炭は塩素分をほとんど含まないため、ほとんど発生しない」とし、排水面におけるヘドロについては「発生しない」。

 

 このほか、景観面では、高さ100辰稜啜づを新設するものの、不用となったパルプ連釜を撤去、煙突の一部も撤去することをあげ、報告の最後は「安全と環境面には最大に注意を払っていく所存」の言葉で締めくくりました。

 

 概要報告の後、出席した議員からの質問も受け付け、その中で「増設計画は…?」の質問に対する答弁は「計画は有していない」でした。

 

 概要報告に津波対策がなかったことから自分は、それを取り上げて「巨大地震が発生した際、田子の浦港からの津波襲来は避けられない。原発との比較はできないにせよ、高温ボイラーを扱うだけに不安を抱く住民も多いが…」と質問。答弁は「巨大地震にも対応できる対策をとっている」で、これを受け、「今後の地元説明会では、その点も、しっかり伝えてほしい」の要望を提示しました。

 

 この石炭火力発電所建設計画については、五日間に19人が登壇した一般質問でも3人が取り上げ、「容認できない」の意見を述べた議員もいました。

 

 しかし、です。約10万KWは、厳しい条件が付される15万KW以上を対象とした国の環境影響評価法の対象外。県の環境影響評価条例の対象ともならず、地方議会の場で「容認できない」を声高に主張しても事業が進んでいくことになります。

 で、一般質問の答弁で市長が述べた「電力事情を勘案すれば建設もやむなし」となるのですが、違った角度から今回の石炭火力発電所建設計画をとらえていくと「原発ゼロへの一里塚」、そんなとらえ方もできるのではないか…。それを、いま一つしっくりしない気分に吹き込んでいます。

 

 今回の石炭火力発電所建設の事業費は200億円から250億円とされており、10基でも2,000億円から2,500億円程度。発電出力は10基で約100万KW、これは原発1基分に相当(浜岡原発の第4号機は113.7万KW)。環境への負荷は、排気ガスを排出しない電気自動車の普及で相殺することができれば万々歳。

 

一向に終息しない福島第1原発事故を受け、「原子力という魔法を手にしたものの、その魔法を解く術を手にしていない以上、原発はゼロに…」を強く思う者としては「今回の石炭火力発電所建設計画は感情や感覚をもって安直に受け止めてはならないな」です。

 

ただ、概要報告で事業者から「地元の理解を」の言葉はあったものの、全市的な理解を得ていく意気込みがなかったことが残念。単一の迷惑施設としての石炭発電所建設計画ではなく、日本の電力事情や今後のエネルギー事情を考える問題に位置付けて広く情報を公開、議論を重ねる、それが本質的な合意形成に連動するのではないか…。「富士市民を信じてほしい」、そんな思いでいます。

 

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