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福祉の開拓者、廣瀬巌氏逝く

 富士市の福祉向上に多大な功績を築き上げていた廣瀬巌さんが2月13日、入院先の市立中央病院で肺疾患により亡くなりました。80歳。自宅住所は富士市鮫島592−5。葬儀は、16日(日)午後6時から通夜、17日(月)午前10時から本葬を、ともに富士市青葉町540、セレモニーホール富士。喪主は夫人のとめ子さん、喪主は長男の孝徳氏。

 

 廣瀬さんとは、前職のローカル紙の駆け出し記者時代からのお付き合いで、30数年になります。正確には「お付き合い」ではなく「お世話になった」人生の恩人。今年に入って入院、酸素吸入を受けるも元気そのもので、「すぐに退院するのでは…」と思いっていた中での訃報の知らせ。しばらくの間、茫然自失状態でした。

 

 しかし、何故か、悲しいはずなのに、その思いは湧いてきません。喜怒哀楽は、それなりのプロセスがあって生じる感情であり、あまにも突然の予期せぬ訃報だったからかもしれません。

 

 あっけにとられて時間ばかり経過していますが、ここで気を取り直し、感謝の思いを込め“滅私奉公”といえる人生を歩んだ廣瀬さん、その人なりをお伝えする一文を記します。

 

 廣瀬さんは福祉部長で富士市役所を定年退職。その後、公益社団法人の富士市シルバー人材センターに勤務し、シルバー人材センター退職後は高齢者福祉の向上を目指すNPO(特定非営利活動)法人のハイネット・ふじの理事長などを担い市民活動のリーダーとして活躍。

 その活動と指導力が注目を集めて行政福祉を補完し、民間サイドから福祉の向上役を担う富士市社会福祉協議会の理事に推し出され、さらに公務員出身としては異例となる市社協の会長に就任、2年前に後進に道を譲って退任するまで三期6年にわたって会長職を担ってきた方です。

 

 公務員に限らず定年退職者の多くは、在職中に果たせなかった事に取り組んでいます。例えば長期の海外旅行や目的地を定めないマイカー旅行。趣味に挑戦することも、その一つです。

 それはそれなりに素晴らしい老後ですが、廣瀬さんは定年退職後、内閣府政策統括官(共生社会政策担当)所管の公益法人であるエイジング総合研究センター(JARC)に会員登録して世界に目を向けて福祉の調査研究に取り組んできました。

 

 日本は、極めて短期間に世界最高レベルの長寿を享受する社会となってきましたが、その一方、急速に高齢化しており、旧来の社会観、社会システム、生活慣行では対応し得ない社会に突入。廣瀬さんが会員登録したエイジング総合研究センターは、そのような時代にあって専門家が共同で高齢化社会に関する学際的調査研究を行い、社会変化に対応した社会システムや社会観の創造に寄与する活動を展開。廣瀬さんは、福祉の先進国家であるスウェーデンなど北欧や、日本と同様に急速に高齢社会に移行している中国などをたびたび訪問、その調査研究の成果を就任した役職の上に立って活かし、富士市の福祉の向上に結び付けてきた、福祉の開拓者のような方でした。

 

 定年退職後の世界に目を向けての福祉の調査研究費用は、すべて自費。ある時、負担の大変さに話が及んだ時、「海野さん、退職金が涸渇しちゃったよ〜」と話していましたが、そこには満足感に満ちた感じの笑顔がありました。

 

 しかし、福祉向上に確かな実績を築き上げてきながらも、ここ二、三年、富士市の福祉について意見を交わす際、暗い表情を見せることが多々ありました。

福祉も公から民の時代へと移行する中、福祉、とりわけ高齢者福祉分野において旧来からの社会福祉法人だけでなく、さまざまな職種が参入、ビジネス化していることのへの暗い表情で、「福祉の本質が、どこかに吹き飛ばされはしないだろうか」、さらには「どんな時代になっても公が担うべきことを、しっかりと明確にして、市民を守る行政としての責任を果たすべきだ」、そんな事も話されていました。

 

まさに、その通り。「廣瀬さんの遺志を自分が受け継がなくては…」、そんな思いでいます。

 

その思いを胸に刻む中、亡くなる直前、病床で廣瀬さんが自分に語った、この言葉を思い出しています。それは、1924年に84歳で亡くなったアメリカの詩人、サミエル・ウルマンの『青春とは』と題された詩をもとにしたもので、廣瀬さんの社会に向けての万斛(ばんこく)の思いを込めた願いだったのかもしれません。

 

「海野さん、私は80歳になり、老化を自覚しているが、心は青春のまま。高齢者と呼ばれる人たちのほとんどは、私と同じ思いを抱いているはず。信念と自信と未来に希望を抱いている。それを理解して地方議員の立場から、これからの高齢者福祉に取り組んでほしい」

 

 最期に一言を記せば、『ただただ 感謝多々』。 合掌

 
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