<< 満開の中で「富士ばらまつり」 | main | 自治体議会政策学会に参加してきます >>
第26回鷹岡地区さくら祭り写真コンクールの表彰式&作品展
  富士市の鷹岡地区まちづくり協議会を母体にした実行委員会主催の「第26回鷹岡地区さくら祭り(以下、さくら祭り)」に盛り込まれた写真コンクールの表彰式が、きょう5月12日、鷹岡まちづくりセンターで開かれました。
 

 さくら祭りは4月5日に開催。写真コンクールは、そのさくら祭りや今季の鷹岡地区内の桜を題材にした作品を募集、138点もの作品が寄せられました。

 

 実は、自分は記者時代、その職業柄、消防出初式写真コンクールをはじめ幾つかの写真コンクールの審査を依頼されていました。が、7年前に記者生活に終止符を打ち、市議会議員の職を仰せつかった以降、審査依頼を辞退。「ほぼ毎日、写真を撮る記者という仕事に終止符を打ったこと」や「写真家を名乗るほど写真に対して自信を有していない」などが、その理由でした。

 

 そんな中、所在区の鷹岡地区のさくら祭りの写真コンクールについては、にべもなく「できません」と拒否することはできないこと、さらに写真との接点、カメラマンの皆さんとの接点を持ち続けたい、そんな思いから審査を引き受けています。「今年で最後に…」、その条件を付して…。

 

 さて、今年の審査会は25日に行われ、まつり関係者や写真コンクール担当者の意見を求めながら各賞を決定しました。

 

 かつて写真の優劣は、シャッタースピードや露光、ピント調整などの基本的な撮影技術が大きなウエートを占めていましたがカメラ機能の進展や、露光不足の補正などの画面加工を可能とするデジタルカメラの登場により、誰でも、容易に、それなりの撮影が可能となり、基本的な撮影技術に審査の目を向けることはナンセンスなものとなっています。

 よって近年における写真の優劣は、報道写真の線上でとらえた決定的な一瞬、それを回答とすべきですが、「それだけでいいのか…」という思いもあります。

 

 一方、写真の芸術性は、一般的に「記録、証明などを超えたもの」とされていますが、芸術の表現は人それぞれ千差万別であり、そんな中での審査は困難を極め、最終段階では迷走状態に陥るほどでした。

 その困難、迷走は、「アマチュアのカテゴリーを超えた、優れた作品が多かった」という言葉にも置き換えられます。

 さらに「既成概念を瓦解する中に芸術の発展がある」を具現した挑戦的、あるいは前衛的な作品も散見され、それも困難、迷走の理由の一つでした。

 

 ようやく下した審査結果は、「まつりの雰囲気」「鷹岡の春(桜)の情景」「さくら姫」などの視点から作品を判断、これに作者が作品に込めた思いを読み取る努力を重ねての結果です。

 

 しかし、今回の審査結果に自信があるわけではありません。「審査の目が変われば違う審査結果が下されたのでは…」、そんな思いもあります。が、「作者が一枚の作品に傾注した情熱に負けぬように…」の意気込みをもって審査にあたったことだけは、ご理解を願いたいと思っています。

 

 入賞・入選作品展は、あす13日(火)から鷹岡まちづくりセンター2階ギャラリーで開催。午前8時30分から午後9時。今月19日(月)まで。ただし、期間中の18日(日)は休館。

 

 以下に、入賞・入選作品を紹介。同時に、きょう12日の表彰式に合わせて執筆した審査評を記します。審査結果に対する忌憚のないご意見を賜ることができれば幸いです。

 

 入賞・入選作品の紹介

 

☆さくら祭り大賞…立田 雅夫さん、作品名『春の踊り』



【評】 このコンクールはジャンルが複数あるため、まず、それぞれのジャンル別に「これだ!」という作品を1点ピックアップ、その中から第一席の大賞としたのが、このチアダンスをショットした作品です。シャッターチャンスをとらえ、ダンサーの子供たちの表情も素晴らしい、桜花を取り込んで春の祭りの雰囲気も文句なし、完成度が極めて高い作品です。実は、ステージ部門にチアダンスが初登場したこともあってかチアダンスをショットした作品が数多く出品された中、この大賞以外に、もう1点、気になる作品があり、どちらをジャンル別のトップにするか非常に迷いました。その気になる作品とは、ダンサーと、その影をショットしたもので、実にユニーク、かつ個性的な作品でした。しかし、題名はありきたりのもので、意図的にショットしたものか、どうかが判然としませんでした。題名が『影も踊る』といったものであればジャンル別のトップにしたかったのですが…。コンクールにおいては題名も作品意図を伝えるには重要な要素です。

 


☆優秀賞…佐野 哲芳さん、作品名『龍巌淵の春』



【評】 大賞に次ぐ優秀賞2点のうち、この作品『龍巌淵の春』の作者は、多分、ベテラン、それもセミプロの方ではないでしょうか。審査の視点の一つ、「鷹岡の春(桜)の情景」に応えた作品として、今年も潤井川と桜並木、そして富士山の三拍子揃った作品が数点ありました。それはそれで素晴らしい作品でしたが、『富士山百景写真コンテスト』と同様、回を重ねている写真コンクールでは「新たな表現」が求められてきます。それに応えたのがこの作品です。多分、作者は、桜花の散り加減も勘案しての作品化のために何日も現場に通ったのではないでしょうか。「撮影者」ではなく「作者」、それを強く感じることのできる作品です。

 


☆優秀賞…加藤 年一さん、作品名『桜のかおり』



【評】 鷹岡地区のさくら祭りは、さくら姫と命名したモデルを投入した撮影会も祭りの“ウリ”としており、今回も多くのカメラマンが参加。寄せられた作品も3分の1余が撮影会でのさくら姫をショットしたものでした。そのさくら姫ジャンルでトップに選んだのがこの作品です。さくら姫は、モデル初体験の女性で、カメラマンの注文に応じてポージングにトライするも硬さが目立つ中、この作品は自然体の一瞬をショット。それだけでなく作品全体から春の雰囲気もあふれ出ています。

 


☆入選…多田 周史さん、作品名『笑顔』



【評】 さくら姫をショットした作品で、作品名が、すべてを語っています。類似的な作品が多い中、「この作品は、内面から放たれる快活、明朗な人柄が表情として示された一瞬をショットしている」、そう読み取りました。桜花を全面に取り込んだ背景処理も作品としての価値を高め、より一層、表情を浮き立たせています。計算された完成度の高い作品です。

 


☆入選…斉藤 伸也さん、作品名『青春』



【評】 写真は「撮影者が感性をもって日常を切り取るもの」とされ、創作を忌み嫌う方が多いようです。しかし、「はい、笑顔で…」などの声を掛けての撮影も、ある意味、創作であり、私は「創作は舞台でいうところの演出。程度の問題があるにせよ、創作を演出としてとらえてもいいのではないか…」という考えをもっています。この考えをもとに、この作品を入選に選びました。日常を芸術作品としていくためには、時には、演出も必要であり、そこから写真の新たな可能性が生まれる、私は、そう確信しています。しかし、作者からは、「偶然、出会った面白い場面に思わすシャッターを切った」と抗議を受けるかもしれません。作品に注文を付けるならば、右側の造形物が冗漫で、撮影ポジションを変えるなどして子供たちと桜花だけをショットすれば、さらに作品の完成度が高まったと思われます。


 

☆入選…加藤 静雄さん、作品名『上手くたたく!』



【評】 ユニークな太鼓演奏の姿勢をショットした作品です。撮影のポジションからして「ベテラン者」、それを感じました。カメラの初心者では、なかなか、こうしたポジションに目を向けることはできません。さらに、ダイナミックに奏者をとらえたことにより、太鼓の鼓動が作品からあふれ出てくる、といった錯覚を覚えるほど力のある作品です。桜花を描いた舞台装置も作品に組み込んでおり、主催側の期待を計算した構図と読み取っての入選です。

 


☆入選…平野 岩夫さん、作品名『春(うら)ら』



【評】 この作品は、瞠若(どうじゃく)たらしめるカメラ技術を駆使した作品ではなく、奇抜さや、斬新なアイデアも注入されていません。さくら祭りを衒いなく真正面からとらえた作品です。祭りに来場したすべての人が目にした場面であり、入選の評価に首を傾げる人がいるかもしれません。しかし、です。誰もが目にした場面でありながら、この作品には細部にわたって作者の意図するものがあふれ出ています。ピアノ演奏会で演奏者は、こう言います。「難曲よりも、皆さんが良く知っている難易度の低い、例えばベートーヴェンの『エリーゼのために』の方が演奏しにくい」と。一つのタッチミスも許されないからです。この作品もしかりです。誰もが目にした場面であるものの、踊りの円陣をショットすることによってふれあいのある祭りを示し、それをピクニックシート上でのんびり見学する人と一緒に踊る人、車椅子の見学者などをもって誰もが訪れ、楽しむことの出来た祭りが示されています。さらに桜木に囲まれた舞台広場や、作品上段に満開の桜の枝を取り込むなど構図的にも作者の意図と計算を読み取ることができます。「誰もが目にした場面であるものの、誰もが撮れる作品ではない」といったところです。

 


☆入選…川口 廣男さん、作品名『消防音楽隊』



【評】 この作品の作者も、「多分、ベテラン者」と推測しました。消防音楽隊は、さくら祭りに初登場とあってか、出品数も多かったのですが、そのほとんどが勇壮な演奏場面を真正面からショットしたものでした。その中で異彩を放っていたのが、この作品です。広角レンズを活かしてのダイナミックな構図の写真的なおもしろさだけでなく、作品中央に指揮者を置き、その背後には桜花をしっかりと取り込んでいます。さくら祭りでの消防音楽隊の演奏、その計算も図った玄人受けする作品です。

 


☆特別賞…鈴木 悦子さん、作品名『熱演』



【評】 チアダンスのジャンプした迫力ある場面をショットした、この作品、正統派の写真を追い求めている方々は「不完全な作品だ」と一蹴するかもしれません。作品のポイントであるジャンプしたダンサーの足が部分的であり、ジャンプによって揺れる髪も部分的で、それをもっての不完全です。それを承知で、この作品を特別賞に選んだのはダンサーの躍動感、それに的を絞ってシャッターを切ったであろう作者の思い切りの良さです。つまり、作品の完成度よりも全身からあふれ出る目には見えない躍動感のショットを試みた、その点です。芸術を表現するフレーズに「開け放たれた窓から見える物は、閉ざされた窓から見えてくる物ほど多くはない」があります。写真芸術には、目に見える現象以上のものを放つ力がある、作者は、それを意識して、この作品をショット、応募したのではないか…、そんな思いを抱いているのですが…。

 


☆特別賞…川口 廣男さん、作品名『沿道の桜並木』



【評】 川口廣男さんは、作品名『消防音楽隊』が入選となった方です。主催側から審査にあたって「できれば賞は一人一賞に…」との要請を受けながらも川口さんの、この作品を選外とすることはできず特別賞とさせていただきました。作品的には、日本の写真史における初期のピクトリアリスム(絵画的な写真表現)に分類されますが、日本画的要素を取り入れて抒情性を打ち出した独創的な作品です。かつまたストロボを放って通常では見ることのできない幻想的な世界を作り出しています。作品には「鷹岡地区」という地域性を感じ取ることができませんが、「それは瑣末(さまつ)なこと」と思ってしまうほどの魅力を有している作品です。これからも人の目には見えない、写真でしか見ることのできない鷹岡地区の魅力を世に送り出して下さることを切に願っています。

コメント
コメントする









CALENDAR
S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT