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会派研修「これからの自治体政策―持続可能な社会への視点―」パート
 

第3講座

 

 講座名:介護保険制度改正について―高齢者福祉と自治

     体の課題

 講 師:結城 康氏(淑徳大学社会福祉学科教授)

 

〔講師プロフィール〕

 淑徳大学社会福祉学部卒業。法政大学大学院課程修了(経済学修士)、同大学大学院博士課程修了(政治学博士)。地域包括支援センターや、民間居宅介護支援事業所などの勤務経験を有する。2010年から社会保障審議会介護保険部委員。

 主な著書に「日本の介護システム政策決定過程と現場ニーズの分析」(岩波書店、2011)、「国民健康保険」(岩波書店、2010)、「介護入門、親の老後にいくらかかるか?」(筑摩書房、2010)ほか。


                講師の結城氏

 

〔講座内容〕

 講座は、演題に沿って

1.     今回の改正のポイント

2.     論点 〇堋村の力量

3.     論点◆〕弉雜酣定の問題

4.     論点 財源問題と地域間格差

5.     論点ぁー助、互助の低迷

6.     論点ァ|楼菠餝膸抉腑札鵐拭爾領藁椋

7.     論点Α〕用者乖離とシャドーコスト

8.     要支援1.2の行方

9.     自己負担2割導入の課題

10. 今後も国民の負担が持続していく

11. 特養ホームに関する改正

12. 介護予防事業のこれから

13. 地域ケア会議の法制化

14. 市町村への権限移譲

15. 在宅医療資源の課題

16. 2014年診療報酬改正

17. 第1号被保険者の保険料段階の見直し

18. これからの介護保険制度を考える

19. 介護職員の人材不足

20. 地方は特養・老健が在宅介護の要

という流れで進んだ。

 

 めまぐるしく、その内容が変わる介護保険制度。制度変更は、問題を抱え、さらに新たな問題が突き付けられていることの証左と言えるだろう。

 

 講座内容が広範囲にわたっていることから、ここでは「1.今回の改正のポイント」と「18.これからの介護保険制度を考える」を取り上げ、その詳細を記す。

 

「1.今回の改正のポイント」として結城氏は、

  要支援1・2における予防給付の見直し

  介護保険自己負担2割の導入

  補足給付における資産勘案

  市町村への権限移譲

  特養における申し込み要件の変更

  サービス付き高齢者住宅における住所地特例の導入

  低所得者の保険料見直し

  地域包括支援センターの強化(地域ケア会議)

  介護予防の統合(一次と二次)

  介護職員の処遇改善

などをあげた上で、予測される改正メリットに「画一的な給付サービスが事業化されることで地域ニーズに応じた柔軟なサービス形態になる可能性が期待できる」「サービス単価、運営基準などが弾力的になる」「生活支援サービスなど新しいサービス形態が構築される可能性があり、従来、無償ボランティア的に従事していたインフォーマルサービスの担い手に加え、改正によって有償ボランティア的な担い手も増やすことができる。その結果、インフォーマルサービスの活性化につながる」「従来の介護予防事業の一次と二次が統合され、効率的な事業運営が可能となる」などをあげた。

 その一方で、「このようなメリットが期待できる地域は一部の自治体で、全国的にみて少数になるだろう」と述べ、その理由して市町村それぞれの財源問題をはじめマネジメント力の差、地域包括支援センターの力量差、自助・互助の低迷などをあげた。

 

18.これからの介護保険制度を考える」について結城氏は、今後の予測を次のように示した。

  介護職員の確保、とりわけ在宅分野の人材不足が深刻化して在宅介護の危機が訪れる。

  介護保険を「完全市場」と考え、営利企業が台頭してくる可能性がある。

  在宅介護に施策がシフトして介護難民などがグレービジネスに流れる。

  介護保険料が引き上がり、高齢者の可処分所得が減っていく。

 これらを示した上で結城氏は、不安材料の氷解に向けて「特別養護老人ホームや老人保健施設が核となり、在宅と施設の社会資源を提供していく」「施設と在宅といった二分法でなく、一体的に運営していく」「社会福祉法人や医療法人という公的な位置付けをもって営利企業には沿わない役割を発揮していく」「在宅部分が赤字でも施設部分で補填していく運営形態を目指す」などの施策を示した。

 

 

〔受講所感〕

 結城氏の講座を受け、改めて「介護保険制度は難解だ」を実感。その難解は、めまぐるしく制度が変わることが主因ではあるが…。

 講座の中で結城氏は、「全国に1,700もの行政・議会があれば、優秀な行政・議会、そうでない行政・議会があり、その格差は著しい。介護・医療・福祉もしかり。国は介護保険制度というボールを地方に投げているが、今回の制度改正を受け止められるのは全国で2割程度ではないか」とし、この分析をもとに「介護・医療・福祉は全国一律的なサービスであり、地方分権時代を迎える中でも介護・医療・福祉のトータルサービスである介護保険制度の地方移譲には反対」の持論を述べた。

 とはいえ、地方自治体が介護保険制度における保険者で、経営・運営を担っている現状は、今後も続き、再び政権交代があったとしても、「すでに破綻している」とさえ言われる国家財政からして、その制度の根幹部分の改革は期待薄と言わざるを得ない。

 ならば、いかにして結城氏が予測する「今回の制度改正を受け止められるのは全国で2割程度」に富士市が仲間入りを果たすことができるか…、その考察が我々には求められている。

 結城氏は、「今後の介護保険制度の運用にあたって地域包括支援センターの機能発揮が重要になってくる。その機能発揮に向けて最低一施設は監督・指導の権限も有する自治体の直営にすべき。その実現を議員の方々に期待したい」と述べている。

 人口26万人都市の富士市には、現在、地域包括支援センターが八施設開設されており、そのうち一施設が自治体直営、つまり市直営である。

 しかし、この市直営が民間に業務を委託している他の地域包括支援センターの監督・指導を十二分に担っているかについては、制度上における地域包括支援センターが萌芽の域ということもあって疑問符が打たれる。

 今後は、業務委託にあたって成果主義をもとに相談1件につき、訪問1件につき単価を定め、実績をもとにして委託料を支出する出来高払いも検討すべきかもしれない。その検討以前の問題として我々は、介護保険制度の担当部署からの情報提供が少ない現実を踏まえ、情報入手を強化したい。

                         (つづく)

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