<< 富士市立中央図書館で『第17回絵画楽作品展』が開かれています | main | 会派研修『これからの自治体政策ー持続可能な社会への視点ー』パート >>
会派研修『これからの自治体政策ー持続可能な社会への視点ー』パート

 

第4講座

 

講座名:地域子育て支援の体制づくり―子育て新システム

    と自治体

講 師:渡辺 顕一郎氏(日本福祉大学子ども発達学部子ど

も発達学科教授)

 

〔講師プロフィール〕

 1987年、関西学院大学社会学部卒業。2000年、関西学院大学大学院社会学研究科博士課程修了。京都国際社会福祉センター専任講師、四国学院大学社会学部の専任講師、助教授、教授を経て2007年から現職。

 主な著書に「気になる子どもと気にする先生への支援」(金子書房、2013)、「詳解 地域子育て支援拠点ガイドラインの手引」(中央法規出版、2011)、「子ども家庭福祉の基本と実践」(金子書房、2009)ほか。


              講師の渡辺氏


〔講座内容〕

講座は、

1.     児童福祉における予防的視点

2.     子育ち・子育てを取り巻く社会の様相

3.     地域における子育て支援―地域子育て支援拠点を中心に―

4.     地域における子育て支援をめぐる課題―利用者支援事業―

という流れで進んだ。

 

 講座の冒頭で渡辺氏は、「平成27年度の子ども・子育て新制度の施行をにらみ自治体が動き出している。保育所の待機児童を抱える大都市圏では保育サービスの拡充が、人口減少が進む地方都市や郡部では保育所・幼稚園の統廃合などが課題となっている。新制度において独立した就学前施設となった幼保連携型認定こども園は、こうした課題解消の切り札になるかもしれない」。

 さらに、「日本は、すでに人口減少社会に突入し、性別にかかわりなく若い労働力を確保することが課題にもなっている。男女共同参画社会、ワークライフバランスといった理念の実現だけでなく、現役世代の労働力を維持するためにも保育サービスの充実が必須となっている」と述べた。

 その上で「今回の講座では、行政関係者の関心が『保育』に偏りがちな中で『地域子育て支援』に目を向ける。子どもの育ち、家庭における子育ての現状と課題を見つめ直し、社会全体で子育てを支える体制づくりについて考える」とした。

 

 その地域子育て支援について渡辺氏は、課題として「市町村に実施が委ねられ事業が多く、地域格差が生じている」「子育て家庭の実態に沿った支援の質的向上」「多様な保育・子育て支援の連携」などをあげ、今後の地域子育て支援の展開にあたっては、「子育て家庭にとって身近に感じられる保育所をはじめ、認定こども園、児童館、地域子育て支援拠点などの地域の施設が、ただ単に子どもへの支援だけでなく、子育てをする親を含めた家庭支援を積極的に担い、地域の連携を築いていくことが喫緊の課題」とし、その認識を共有しての支援取り組みの必要性を説いた。

 

 講座の中で我々が注目したのは、「2.子育ち・子育てを取り巻く社会の様相」で渡辺氏が示した2008年の日本青少年研究所による中・高校生に対する「子どもの孤独と自己肯定感」の国際比較調査結果で、中国、米国、韓国、日本の四か国の調査結果は次の通りである。

 

 設問:自分はダメな人間だと思う


 中国 「とても、そう思う」 3.4%

    「まあ、そう思う」  7.7%


 米国 「とても、そう思う」 4.7%

    「まあ、そう思う」  9.5%


 韓国 「とても、そう思う」 7.9%

    「まあ、そう思う」 33.8%

 

 日本 「とても、そう思う」20.8%

    「まあ、そう思う」 35.2%

 

 調査結果には、日本の子どもの自己肯定感の低さが如実に示されている。

 急増の一途を辿っている児童虐待の認知件数については、「児童虐待とは…、さらに、その虐待範囲も広く周知され、それまでシツケやセッカンとして処理されていたケースも児童虐待として認知されるようになったため。実際、児童虐待そのものが急増しているとはいえないのでは…」の主張があるように、自己肯定感の国際比較調査も、日本の調査結果が他の三国と比較して突出していることから、「調査方法に何か問題あるのではないか」の疑念を抱いている。

 この疑念があるものの、調査結果を「日本の子どもの自己肯定感の低さは認めざるを得ない」と受け止めた場合、渡辺氏が打ち出した地域で子育てを支えるネットワークづくりや、地域子育て拠点の整備、子育て家庭をつなぐピア・サポートの体制づくりなどが急がれよう。

 

 ただ、少子化を背景に、子育てを水戸黄門の印籠の如くとしての時代ニーズ、社会ニーズとされる行政施策が次々と実現されていくことに戸惑いがあることも、また事実である。

 

 子育ての第1当事者である親について渡辺氏は、「社会における母性・父性が希薄化している」とし、母性の希薄化については「孤独感を深め、子どもに向き合うゆとりや自信を喪失する場合、母性を十分に担うことができない」、父性の希薄化については「仕事に追われ、育児不在が進む中、父性を担うことが難しい」と分析、その上で「地縁・血縁・拡大家族が主流だった時代には、親だけでなく、祖父母や叔父・叔母などの親族間で母性や父性を分担できたが現代の核家族では限界がある」とした。

 この主張、納得はするも、親の子育て責任について、踏み込んだ分析、主張がなかったことは残念であった。

 

〔受講所感〕

「少子化を背景に、子育てを水戸黄門の印籠の如くとして…」による行政施策を象徴するものに待機児童の解消があり、富士市でも3歳未満児の受け皿を拡大する認定こども園が急激に拡大している。


 しかし、貴重な乳児期の子育てを親から社会にシフトしていくことに問題はないか。さらには、時代ニーズ、社会ニーズとされる3歳未満時の受け皿の拡大によって長く乳幼児教育を担ってきた保育所が経営危機に陥る不安や、保育機能を補完してきた保育ママ制度が崩壊する不安を抱え込んできた現実にも我々は目を向けなければならない。


「次々と打ち出される子育て施策が子育ての本質を見失ってはいないか」「中高校生の自己肯定感が高まる子育て施策でなくてはいけない」、そんな思いを受講後に抱いた。


 いずれにせよ、今を子育て元年として、親を含めて、それぞれの場で子育て施策を、いま一度、検証、見直すべきことは見直し、新設すべきは新設して、ブレのない、未来永劫と続く日本らしさ、富士市らしさをもった施策の確立が急がれる、これを受講所感のまとめとしたい。

| - | 04:48 | comments(0) | - |
コメント
コメントする









CALENDAR
S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT