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会派研修『これからの自治体政策ー持続可能な社会への視点ー』パート

第5講座

 

 講座名:低炭素・気候変動適応型社会へ―自治体の対応

     と課題

 講 師:白井 信雄氏(法政大学地域研究センター特任教

     授)

 

 

〔講師プロフィール〕

 大阪大学工学部大学院環境工学専攻修士卒。大阪大学より工学博士を取得。三井情報開発蠢躪膰Φ羹蟯超・資源領域リーダー、螢廛譽奪研究所持続可能環境・社会研究センター長を経て現職。

 主な著書に「図解 スマートシティ・環境未来都市 早わかり」(中経出版、2012)、「気候変動に適応する社会」(技報堂出版、2013)、「環境コミュニティ大作戦」(学芸出版、2012)ほか。


              講師の白井氏

 

 

〔講座内容〕

 講座は、

1.     適応策とは…?

2.     適応策の必要性

3.     適応策の基本的な考え方

4.     行政における適応策

5.     地方自治体への提案(地域適応ガイドライン)

6.     適応策と緩和策(低炭素施策)の関係

7.     適応策を考える上で、様々な立場があるが、もっとも大切にすべきこと

という流れで進んだ。

 

 講座で白井氏は、まず、「気候変動(地球温暖化)対策には、緩和策と適応策の二つがある」とし、その違いと、取り組みの事例を次のように解説、示した。

 

【緩和策とは…】 人間活動による温室効果ガス濃度の上昇を抑制す

         ること

 取り組み事例は、

  ◆省エネルギー対策

  ◆再生可能エネルギーの普及拡大

  ◆CO2の吸収源対策

  ◆CO2の回収・備蓄

 

【適応策とは…】 最大限の緩和策でも避けられない影響を軽減

 取り組み事例は、

  ◆渇水対策

  ◆治水対策、洪水危機管理

  ◆熱中病予防

  ◆農作物の高温障害対策

  ◆生態系の保全

 

 緩和策と適応策の違いと取り組みの事例を示した上で白井氏は、「気候変動により、これまでの気候災害を増幅させる。今後は経験していない被害が発生する可能性がある。人類の危機だと知ることが必要である」、さらに、「気候変動は、すでに始まっている危機。最大限の緩和策の努力をしても、今後、数十年は気候変動の、さらなる影響を回避することができない。故に適応策は不可欠なものである」とした。

 

 続いて各省庁における気候変動適応への取り組みや、東京都、埼玉県、長野県などの先行自治体における適応策の取り組みを紹介。

 そのうち、埼玉県では、県環境科学国際センターが緊急レポート『地球温暖化の埼玉県への影響』を作成すると共に『ストップ温暖化・埼玉ナビゲーション2050』に適応策を盛り込み、温暖化対策推進条例にも適応策を明示、さらに温暖化対策計画の改定にあたっては「適応策専門部会」を設置したことなどを報告した。

 

 また、緩和策と適応策の関係に関する私見として「日本の適応策は先進諸国に比べて5年は遅れている」としながら「地域資源を利用し、水、エネルギー、食糧などの自給率を高めることが緩和と適応を両立させる方向として重要である」と述べた。

 さらに、気候変動のとらえ方について「緩和策や適応策を地域ビジネスとして行うことで、あるいは社会活動として行うことで経済や社会を発展させる効果を創出させることができる」とし、気候変動の進行が人類の危機に直結するもの、その対策に取り組む中には経済や社会を発展させるチャンスが潜在していることを力説した。

 

 講座の終盤では、『もっとも大切にすべきこと』と題して、以下のような主張を展開した。

 

「人類は、気候も含めた自然システムに絶大な影響力を与える存在であることを自負しなければならない。そして、自然システムのすべてを解明して将来を完全に予測することや、自然の猛威を技術で完全に制御することは不可能であることを自覚しなければならない。気候変動の緩和策は人類が自然システムを変えてしまう冒涜への反省として実施されるべきものであり、適応策は自然システムを解明・制御できるという不遜への反省として実施すべきものである。自然を尊重し、かつ謙虚に付き合う姿勢をもって気候変動問題に臨まないと何も解決しない」

 

 

〔受講所感〕

 恥ずかしながら、気候変動(地球温暖化)対策に、緩和策と適応策があることすら知らなかった我々には、その違いを論理的に知ることができた収穫の多い講座であった。

 

 特に印象に残った白井氏の主張は、「最大限の緩和策の努力をしても、今後、数十年は気候変動の、さらなる影響を回避することができない」とした点で、これは「対策さえすれば気候変動の防止に結び付く」が幻想でしかないことに警鐘を鳴らしたものと受け止めた。

 

 このほか、「緩和策や適応策を地域ビジネスとして行うことで、あるいは社会活動として行うことで経済や社会を発展させる効果を創出させることができる」という主張も強いインパクトをもって受け止めた。

 

 気候変動対策は、国家レベルで取り組むだけでなく、地域レベルで取り組むこと、取り組まなければならないことも多々あるだけに、今後、富士市においても、その取り組みの可能性を多方面から拾い上げ、緩和策、適応策に区別して、「経済や社会を発展させる効果を創出させることができる」という価値観をもって実践すべき。これを強く認識したことを本講座受講の最大の成果としたい。

                      (シリーズ終了)


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