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ロゼで詩人・吉野弘さんの遺作展が開かれています

 晩年を富士市で過ごした日本を代表する詩人、吉野弘(よしの・ひろし)さんの『吉野弘遺作展〜ことば 詩 文学の世界〜』が、今、富士市蓼原のロゼシアター展示室で開かれています。「吉野さんの作品と、作品に込められた心を未来に伝えたい」、そんな思いの人たちが実行委員会を組織しての展示会。今月20日(日)まで。午前10時から午後8時。最終日の20日は午後4時で終了。入場無料。


    会場入口の来場歓迎のディスプレーです


       会場には吉野弘さんの書斎を再現


 吉野さんは1926年(大正15年)1月16日、山形県酒田市生まれ。

 代表作には結婚披露宴のスピーチで引用され広く知られる『祝婚歌』をはじめ国語の教科書にも掲載された『夕焼け』や『I was born』『虹の足』など。

 2007年(平成19年)に次女の住む富士市青葉台地区に移住。2014年(平成26年)1月15日に肺炎により自宅で死去、87歳でした。


 自分は、富士市教育委員会が発行している文芸誌『市民文芸』の編集を通しての文芸活動に参画していることもあって「吉野さんが富士市に移住した」との情報を得ていました。『市民文芸』の編集委員の間には「日本を代表する詩人であり、地方都市の文芸誌の審査員を依頼するのは失礼。せめて文芸講座の講師にお呼びすることはできないか」、そんな声もあがっていた中での訃報でした。


 遺作展では、酒田時代、板橋時代、狭山時代とに分け、それぞれの時代の創作活動と作品を紹介。


 吉野さんの代表作といえる『祝婚歌』など広く知られた作品は長文の詩で、それらをもって“詩人・吉野弘像”が自分の中にあったのですが、遺作展を一巡、それは吉野さんの一面でしかないことを突き付けられました。

 スケッチ画を手掛け、されに短文の詩、そう、いまブームの絵手紙です。吉野さんは絵手紙の創作者ともいえる方です。


         スケッチ画のコーナー


      こうした色紙作品も


    発刊された詩集を中心とした著書コーナー


      作品が掲載された教科書コーナー


 さらに、随筆や評論も手掛けたこと。詩の魅力や詩作法・技術論から詩的感動の原点とは何かという問題にまで論を進めた評論『現代詩入門』では評論家として高く評価されていたことも今回の遺作展で知ることができました。


     その功績を称える各賞受賞紹介コーナー


 その作品と人間性にファンも多く、その一人、脚本家の山田太一さんさんは、『ふぞろいの林檎たち』や『キルトの家』の劇中において吉野さんの詩を引用しています。

 1963年(昭和38年)11月に発生した三井三池三川炭鉱炭じん爆発事故により一酸化炭素中毒の後遺症患者となった元採炭夫の生活を題材とする『豊かに』という詩は、吉野さんが作品づくりのスタンスを社会的弱者に置いていたことを伝えています。


 遺作展をじっくり鑑賞。「もたもたしていないで、講演をお願いすればよかった。その人間性にふれたかった」、そんな忸怩(じくじ)たる思いがわいてきたのですが、その一方、活字の力も再認識することができました。

 遺作展を通して、その人なりを知ることができたからです。

 吉野さんを資料収集と展示をもって見事に浮彫りにした実行委員会の熱意にも感激でした。その熱意は鑑賞側に、こんな思いを抱かせるほどです。


「吉野弘さんは今も生きている」

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