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ちょっと長くて恐縮ですが、行政視察報告です。

 富士市議会は、9月定例会が終了した10月上旬から下旬にかけ四つの常任委員会(建設水道、総務市民、文教民生、環境経済)が委員会単位で行政視察に出掛けました。

 

 まちづくりの先進事例の把握を目的とし、各委員会が、それぞれ所管事業をにらんで視察先を決定。自分、海野しょうぞうが所属する建設水道委員会は、1027日、28日の日程で富山県富山市と新潟県長岡市を訪れました。

 

 視察内容は、富山市が「公共交通(LRTなど)を軸としたコンパクトなまちづくりについて」と「自転車市民共同利用システムについて」、長岡市が「中心市街地活性化の取り組みについて」。

 

 参加したのは建設水道委員会の委員8人と議会事務局職員2人、それに都市計画課と市街地整備課の職員各1人の計12人で、議会、市の混合編成でした。

 

 以下は、その視察状況と感想です。

 

「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」(富山県富山市)

 富山市は県庁所在市で、人口42万人余を数える富山県の中心都市。

 しかし、人口減少を招き、さらに高齢化に伴い公共交通や居住環境に手を打たなければ、さまざま公共コストが肥大化する不安を抱え込んでいました。

 そこで打ち出したのが公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりです。

 

 視察では、富山市が導入したLRT(Light rail transit)と呼ばれる低床式車両を特徴とする乗降の容易性や定時性、快適性に優れた機能を担う次世代の軌道系交通システムを乗車体験も交えて把握。岳南電車の存廃問題を抱える富士市にとって注目すべき視察でした。


      これが低床式車両のLRです


         乗り心地は快適でした

 

 その素晴らしさには感動したものの、在来路線の公設民営化に伴い道路に軌道も新設。道路復員などの面で残念ながら富士市への導入には疑問符が打たれました。

 

 担当職員の説明では、「富山市には、かつて路面電車が走っていた」とのことで、その路面電車イコール復員の広さを生かしてのLRTの導入といえます。

 

 

「自転車市民共同利用システムについて」(富山県富山市)

 富山市は、環境モデル都市として、公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりによるCO排出量の大幅な削減を目指しており、特に過度な自動車利用の見直しが大きな焦点となっていた、といいます。

 

 そこで打ち出した一策が「自転車市民共同利用システム」。中心市街地にIT技術を駆使した自転車を導入し、特定エリアの多地点に狭い間隔でステーションを配置、交通網としての利便性を高めることにより、近距離の自動車利用の抑制を促し、COの排出量の削減を図るとともに、中心市街地の活性化や回遊性の強化を図ることが目的です。

 

 システムを具体的に説明すれば、中心市街地の各所にステーションを設置、このステーションから自由に自転車を利用し、任意のステーションに自転車を返却することができる、という新方式のレンタルサイクルです。

 環境にやさしい自転車による公共交通として注目され、近年、欧州を中心に普及し、日本ではコミュニティサイクルと呼ばれ、各地で社会実験などの取り組みが始まっています。


      ステーションです(富山市役所前)

 

 担当職員からシステムの説明を受け、料金については、30分まで無料、31分から60分まで200円、61分以上は30分ごと500円。登録者の場合は1日パスが300円。

 

 注目されているシステムであるものの、率直な感想として、「システム導入には、それなりの走行路線の整備と安全対策が必要」「富士市に導入する場合、中心市街地とはどこか、その必要性はあるのかの初歩的な問題がある(富士本町商店街や吉原商店街は徒歩で事足りる)」。

 このほか、「自転車の普及を目的とするならば投資・維持費用の面からして購入補助金の方が、その効果が期待できるのではないか」とも思ったのですが、視察を受け入れてもらった立場、それにはふれずに、説明に対して「営業にダメージを受けるタクシー業界などから反対の声は出なかったか」と質問。「出なかった」との回答でした。

 

 

「中心市街地活性化の取り組みについて」(新潟県長岡市)

 長岡市の人口は27万6千人余で、人口面では富士市とほぼ同じ。市庁舎を郊外に建設など多極分散の拡大志向のまちづくり進めてきてきましたが、中心市街地に空きビルが増え、加えて時代的にコンパクトなまちづくりが求められてきたことから平成13年度以降、その方向を180度転換。「郊外化による多極分散を改め、市民に必要な機能を中心市街地に集積すべき」と中心市街地の活性化に取り組んでいます。

 

 平成24年4月には、活性化の核施設となる『アオーレ長岡』がJR長岡駅前にオープン。議会を含めた市役所本庁をはじめアリーナや、“ナカドマ”と呼ぶ屋根付き広場などが一体となった施設で、建設工事費は約131億円。


      『アオーレ長岡』の”ナカドマ”です


 著名な建築家の手による、この施設は全体が芸術作品とも呼ぶべきものでした。議長や市長室はガラス面を多用して可視化を図るなど学ぶべき事、多々あり。

 その一方では、外壁装飾に地場産品である木材を多用、内装にも地場産品である和紙を多用しており、その装飾性には関心するも「維持管理面で、今後、問題を生じるのでは…」、そんな思いを抱くものでした。


    議会本会議場は1階に…、ガラス張りで外から見えます


 議会本会場、天井部分は杉材を使用して

長岡名物の”花火”を表現


3階にある市長室もガラス張りで外から「今、市長さんは…」が可能


           市役所スペースです


  市役所フロアには、なんと「モスバーガー」の店が入居


          こちらはアリーナです


 いずれにせよ、訪れた日は平日。にもかかわらず『アオーレ長岡』には多くの市民が訪れており、アリーナでのビッグイベントの実績からも「長岡市民は、この施設を誇りにしている」、それが伝わってきました。

 

 この『アオーレ長岡』が存在する中心市街地はJR長岡駅前に広がり、かつて長岡藩の城下町として栄え、さらに米百俵によって建てられた国漢学校があった地域。中心市街地活性化の取り組みは、かつての良き長岡市の復活ともいえるものです。

 

 また、都市の顔ともいえる議会を含めた市庁舎本庁まで中心市街地へ復帰させる活性化は、上越新幹線の停車駅である長岡駅を生かした東京圏からの誘客をにらんだ遠大な、思い切った都市づくりともいえそうです。

 

 その取り組みに驚き、関心し、そして、ある意味、うらやましくも思ったのですが、「そのまま富士市に…」は困難と言わざるを得ません。

 

 現在の、議会も組み込まれた富士市の市庁舎を中心市街地活性化の一環として、どこに復帰させるか。これ一つとっても費用面以前の問題として「?」。富士市は、役場もあった中心市街地そのものが富士商店街と吉原商店街に分かれ、これに加えて富士市の玄関口として東海道新幹線新富士駅周辺があるためです。

 他自治体の取り組みを参考にしつつ、富士市の成り立ちを踏まえ、富士市ならでは都市づくりが必要かもしれません。世界文化遺産に登録された富士山をポイントにして…。

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