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韮山反射炉が世界遺産へ、複雑な思いです

 日本政府は5月4日、「伊豆の国市の韮山反射炉を含む『明治日本の産業革命遺産』を世界文化遺産に登録するよう、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)が勧告した」と発表、これをテレビ・新聞などのマスコミ各社が伝えています。

 勧告により6月28日からドイツ・ボンで開かれる世界遺産委員会での正式決定に大きく前進。登録が実現すれば静岡県関係では「富士山」に次いで2件目の世界遺産誕生となりますが、今回の勧告を静岡県民として朗報を受け止めなければならないとは思うものの、正直、複雑な思いです。


        イコモス勧告を伝える新聞紙面です

 

 その“複雑な思い”を記す前に、韮山反射炉とは…。

 

 江戸幕府が幕末、鉄製の大砲を鋳造するために築造した西洋式の溶解炉で、同時期に国内で実際に稼動した反射炉の中で唯一現存。

 建設は1853年のペリー艦隊来航を契機に、韮山代官、江川英龍(坦庵)を責任者としてスタート。工事にあたっては佐賀藩との技術交流を行い、英龍の死後の1857年に完成。敷地内にはレンガ積みの反射炉本体のほか、砲身をくりぬく錘台(すいだい)小屋などもあり、一貫した大砲生産が可能だった、といいます。

 

 明治時代の幾多の産業革命遺産が「過去の無用の長物」として破却、消えていく中で地元の地道な熱意ある保存活動により残され、8県11市にまたがる23資産で構成される『明治日本の産業革命遺産』に組み込まれ、今回、「世界文化遺産に登録を」のイコモス勧告を受けたものです。


 『明治日本の産業革命遺産』は8県11市にまたがる

                23資産で構成(新聞紙面から)

 

 この韮山反射炉、もう、かなり前、確か社員旅行で訪れたことがあります。反射炉そのものの意味すら分からずに伊豆の観光ルートの一つとしての訪問で、今となっては無知無学を恥じるのですが、これといった印象がなく、記憶にも残っていませんでした。

 

 しかし、世界遺産への登録の動きが出てきた1、2年ほど前から、その建設目的や保存活動を知り、産業革命遺産としての価値を認識するとともに、保存に寄せた地元の熱意に感激しています。

 

 さて、“複雑な思い”とは、「富士市にも貴重な明治時代の産業革命遺産があり、24番目の遺産として組み込まれていいのではないか」があるからです。

 

 全国有数の“紙のまち・富士市”で機械抄紙機による近代製紙の第一歩は、潤井川の豊富な水と紙の原料である木材が入手しやすい地の利などから明治23年(1890年)に鷹岡地区入山瀬地先で創業を開始した富士製紙第一工場(現・王子エフテックス)です。

 この日本の機械抄紙機の黎明期に誕生した富士製紙第一工場を核にして旧鷹岡町が飛躍的に発展、馬車鉄道も整備されています。

 

 馬車鉄道は、すでに破却、消えていますが、レンガ造りの富士製紙第一工場は現存、今も操業中です。

 

 自分は、8年前、記者生活に終止符を打って市議会議員に就任した以降、「郷土愛育成のために郷土の歴史を世に…」を議員活動の一つとして取り組み、その取り組みにあたっては、「まず、所在区の鷹岡地区の歴史を見詰めよう。鷹岡地区には、他地区、いや市外、県外にも誇れる富士製紙第一工場があり、動力に水力を利用した点も踏まえ、隣接する潤井川の渓谷美を合わせて、その歴史的・景観的な価値を機軸にして…」としてきました。

 

 一人、また一人と賛同を得る中、まちづくりセンターもセンター事業として受け止めて下り、歴史講座を開講。さらに、まちづくり協議会も現地見学会を開き、聞き取り調査もして明治から昭和にかけての郷土史発行に着手。今秋には発行される予定となっています。

 

 一方、地元での活動だけでなく、定例会の一般質問でも取り上げ、富士製紙第一工場の保存担保と潤井川渓谷美を世に送り出すための整備を求めてきました。

 

 しかし、現地見学会には、教育長の参加も得られるなど、それなりの前進はあるものの、富士製紙第一工場は今だ創業中、そして自由に訪れる場所とするには、かなりの整備投資が必要などから「富士市を代表する産業革命遺産&渓谷美」に向けてのうねりには至っていません。

 

 自分の力のなさに忸怩(じくじ)たる思いを抱いていますが、「世界遺産は無理でも、まず市や県の文化遺産となるよう、今後も活動を」と決めています。


 今年4月5日付け発行の『鷹岡まちづくり新聞』第25号の1面では「今秋、郷土史発行」を伝え、その中では郷土史に盛り込む富士製紙第一工場と潤井川渓谷美の写真も掲載されました

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