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会派視察、沖縄レポートその
【一部既報】
 自分、海野しょうぞうの所属会派、富士市議会の「凛(りん)の会」は、5月10日から12日まで2泊3日の日程で行政視察に出掛けました。
 
 視察先は、沖縄県庁と沖縄県宮古島市。沖縄県庁では、「沖縄県におけるESCO事業、その取り組みの成果と課題」、宮古島市では「2025年問題など高齢者福祉対策について」と「家畜糞尿や生ごみ、剪定枝などを堆肥化して農家に還元するリサイクルセンターの機能と課題及び指定管理者制度導入のメリット、デメリット」が視察案件でした。
 
 視察内容は報告書にまとめて議会事務局に提出してあります。
 
 少し遅くなって恐縮ですが、ここに自分が執筆を担当した宮古島市での二つの視察を2回に分けてアップします。視察を受け入れて下さいました、すべての皆様に感謝を込めて…。
 
 なお、自分のブログは、通常、口頭語としていますが、報告書は文章語としましたので、今回のブログは文章語での表記となります。
 

宮古島市における福祉行政
「2025年問題」等高齢者福祉対策について

 
 視察日 :平成28年5月11日(水)
 場 所 :宮古島市役所
 視察窓口:福祉部高齢者支援課
       課長補佐 平良 典子 氏

 
【視察目的】
 
「2025年問題」という言葉が、ここ2、3年、行政、そしてメディアで頻繁に使用されている。
 約800万人と言われる団塊の世代(1947年〜1949年生まれ)が前期高齢者(65歳〜74歳)に到達したのが2015年、そして、この年代が後期高齢者の75歳以上を迎えるのが2025年で、現在、1,500万人程度の後期高齢者人口は約2,200万人まで膨れ上がり、全人口の4人に1人が後期高齢者となる“超高齢者社会”に突入する。
 この必ずや訪れる“超高齢者社会”に基礎自治体は、どう対応すべきか…の課題が「2025年問題」である。
 “超高齢者社会”への対応は、社会を支える生産労働人口を確保するための少子化対策と、経済活性化が二本柱とされているが、高齢者の皆さんが生きがいをもって心豊かに過ごせる福祉施策の充実、展開も不可欠であることは言うまでもない。
 沖縄県全体の出生率は全国上位にランクされ、その中でも宮古島市はベスト3(
2007年〜2012年の厚生労働省まとめによる市区町村別特殊合計出生率=2.27)。経済活性化に目を向けても観光を、その主軸ととらえて「好調」とされている。
 つまり、“超高齢者社会”の「2025年問題」に対応する下地は出来ているわけである。
 こうした状況下ゆえ、近未来もにらんだ高齢者福祉施策の取組があるのでは…、そう読み取って、今回、視察、調査に訪れた。



 宮古島市庁舎前で…(左から藤田議員、
     高橋議員、一条議員、海野議員、佐野議員)

 
 
【調査内容】
 
 宮古島市は、沖縄本島から宮古海峡を経て南西に約290辧東経125度、北緯24度に位置し、太平洋と東シナ海の間にある島である。2015年時点での人口は約5万5,000人。
 市役所内の議会事務局を訪れると、議事係長の仲間清人氏の出迎えを受け、仲間氏は次の資源リサイクルセンターの視察にも同行して下さった。
 議会事務局の会議室に通され、福祉部高齢者支援課課長補佐の平良典子氏から宮古島市における高齢者福祉対策の説明を受けた。



     課長補佐の平良氏から説明を受ける(中央)
 
 開口一番、平良氏は、「課長が説明する予定であったが緊急の用事があり、課長が作成した資料をもとに説明を」と述べ、その配布を受けた。
『静岡県富士市議会行政視察資料』と題したA4版、5ページで構成された資料は、グラフを多用したビジュアルなもので、しかも富士市と宮古島市の人口や高齢化率の推移、今後の予測を比較しており、平良氏は、「課長が、きょうの視察のために朝方まで時間を費やして作った資料です」。その言葉に驚いた。
 思わず、会派「凛(りん)の会」のメンバーから「これまで数多くの行政視察に取り組んでいるものの、このような資料の提供は初めて…。課長さんに感激したこと、そして感謝していることをお伝え下さい」の言葉が発せられた。
 平良氏は、課長が作成した資料をもとに説明。その中の2015年の富士市と宮古島市との人口ピラミッドグラフに目を疑った。



        配布を受けた資料の表紙です


     比較対比を図った人口ピラミッドグラフ
 

 富士市との比較で、宮古島市は20歳〜24歳と25歳〜29歳の年齢層比率が極端に少なく、これとは対照的に55歳〜59歳と60歳〜64歳の年齢層比率が極端に多い、その点である。
 平良氏は、20歳〜24歳と25歳〜29歳の年齢層比率が極端に少ないことを「高校卒業後、大学などや就職で島を出る若者が多いため」と説明。出生率が全国トップクラスであっても生産労働人口の確保には必ずしも連動しない、その厳しい現実が示された。
 一方、55歳〜59歳と60歳〜64歳の年齢層比率が極端に多い点について平良氏は、「65歳以上の人口比率が沖縄県は低く、それが原因」としたものの、この分析に、我々は「?」であった。
 続けて平良氏は、「第二次大戦で沖縄では地上戦があり、民間人を含めて多くの戦死者が出たから」。これを聞き納得、そして強く思った。「沖縄の戦後は、いまだ終わっていないのだ」と。
 さらに平良氏は、「本土では2025年問題が大きく取り上げられていますが、沖縄が“超高齢者社会”を迎えるのは、その10年後。“超高齢者社会”は2035年問題としてとらえています」と。
 いずれにせよ、宮古島市が少子化対策や経済活性化に確かな成果を残しながらも、「島から出ていく若者が多い」という、離島ゆえの厳しい現実があり、視察中には「宮古島市は観光だけでなく建設関係も好調ですが、それに従事するマンパワーが不足。若手の確保に苦慮している」、そんな話も聞いた。
 果たせるかな、視察、調査前に推測した出生率の高さや、経済の好調さをもっての「訪れる“超高齢者社会”という近未来もにらんだ高齢者福祉施策の取組があるのでは…」を掴みとることはできなかった。
 それは資料として提示された、平成27年度の介護保険制度以外で受けられる宮古島市の「高齢者在宅福祉サービスメニュー」からの判断である。
 メニューの一覧を示すと…。
  ★食の自立支援事業
  ★軽度生活援助事業
  ★高齢者外出支援タクシー利用助成事業
  ★緊急通報システム事業
  ★老人日常生活用具給付等事業
  ★訪問理容・美容サービス事業
  ★寝たきり老人等日常生活用品給付事業
  ★生活管理指導短期宿泊事業
  ★高齢者見守り事業
  ★生きいき教室
  ★長寿大学
  ★介護慰労支給事業
 羅列した、これらの福祉サービスは、富士市と、ほぼ同じである。受益者負担面からとらえれば「富士市の方が厚遇」、そういえる。例えば、介護予防の「生きいき教室(富士市の名称は「生きがいデイサービス」)は、宮古島市の利用回数は月4回、利用料が1回400円であるのに対し、富士市の利用回数は月8回、利用料は1回200円である。
 しかし、ある意味、それなりの受益者負担を求めることは、対象者が急増する“超高齢者社会”に向けての福祉の先進性を示している、そう言えるのかもしれない。
 

 
【視察所感】
 
 訪れるのが早いか、遅いかの違いがあるせよ、必ずや訪れる“超高齢者社会”に基礎自治体は、どう対応すべきか…が問われる中、今回の宮古島市の視察で貴重な示唆を得た。提示された比較データや、現在、取り組んでいる高齢者向けの福祉サービスではなく、宮古島市の風土である。
 質問では交通弱者である高齢者の外出支援について聞いてみた。「タクシー利用助成のほかにコミュニティバスなどの取組は…」と。返答は、「宮古島市には鉄道はなく、バスも観光バスが中心。交通弱者の高齢者の外出支援は地域コミュニティで対応しており、コミュニティバスを導入して運行を求める声は届いていません」。
 島とはいえ人口約5万5,000人を数え、面積が広大、かつ起伏が激しく、横からの潮風も強い宮古島市は完全な車依存社会。交通弱者である高齢者の外出を支えるのは家族、そして知人・隣人、つまりは地域コミュニティの力。もちろん、それは外出支援にとどまらない。“超高齢者社会”に向けての大きな支え、そういった表現に置き換えられる。
「地域コミュニティの力という風土を富士市でも醸成させたい」、これを視察所感としたい。

 
| - | 16:46 | comments(1) | - |
コメント
興味深く、ブログを読ませていただきました。
| 一市民です | 2016/05/27 1:23 AM |
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