隣市、沼津市の任期満了に伴う市長選挙は10月30日に投票が行われ、即日開票の結果、無所属新人でIT企業社長の大沼明穂氏(57)が、無所属で3期目を目指した現職、栗原裕康氏(67)を大差で破って初当選しました。
選挙結果を伝える新聞紙面です(10月31日付け朝刊)
この選挙結果、「えっ!」の感嘆詞が飛び出すものでした。
その理由の前に選挙結果は…
投票率 40・94%
当選 大沼 明穂(57)無新 4万3,159票
栗原 裕康(67)無現 2万4,538票
得票率は、大沼氏63・75%、栗原氏36・25%であることから「大沼氏、大差をつけての当選」ということになります。
3期目を目指した栗原氏は、父親が大臣経験を有した政治家で、県東部自民党の重鎮だった栗原祐幸氏。その地盤を受け継いで県議から衆議院議員に…。
「県東部政界におけるサラブレッド」といわれたものの、その後は、まるでジェットコースターのような政治家人生を歩み、衆院選小選挙区で3回落選、そのうち1回は重複立候補していた比例東海ブロックで復活当選するも2回は復活当選も成らず。
政界に復帰したのは2008年に行われた沼津市長選挙で、5年間のブランクを乗り越えての復帰。2012年に沼津市長に再選。3期目を目指した今回選は、首長としては脂の乗った67歳。加えて自民、公明、民進の推薦を得ての盤石な選挙態勢でした。
一方、当選した大沼氏は、沼津市出身で、東大卒。日本IBM勤務を経て都内でIT企業を創業。つまり、“時の人”であるものの地方政治の未経験者でした。
ゆえに「現職の栗原氏が圧勝」、そういった見方が一般的で、自分も「大沼氏は、そのキャリアの魅力から善戦するも、栗原氏が当選」と読んでいました。
で、選挙結果に「えっ!」と驚いた次第です。
選挙結果を伝える新聞の分析では、「低迷する沼津市を立て直すトップに市民は市政刷新を訴えた新人の大沼氏を選び、変化への舵取り役を託したとも言えるが、実際は現市政に不満を持つ多くの市民が大沼氏を強力に支持したにすぎない」。さらに、「(大沼氏は)IT企業などの成長産業の誘致や保育料の近隣市町以上の軽減など、訴えた政策を実現するために早急に財源の裏付けとともの具体策を示す必要がある」と注文をつけています。
隣市とはいえ沼津市の政治情勢を詳細に把握していないことから個人としての感想は控えますが、「政治の世界、一寸先は闇」、それを改めて実感しています。
さらに、「政治とは、明日に希望、未来に夢を与え、その実践、実現に全力を傾注。生活に密着した基礎自治体には、ひと際、それが求められる」、そんなことも感じています。
こう記すと、「少子・高齢化、これに経済低迷が加わって地方財政が厳しさを増す中、行政サービスの圧縮・削減が求められている。希望や夢などは無責任だ」の批判を受けそうですが、圧縮・削減が求められる時代だからこそ、圧縮・削減の明日に希望、未来に夢を描くのが政治、その実現に向かうのが政治、自分は、そう思うのですが…。