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犯罪者などの更生支援を担う保護司制度、崩壊不安の中で…

 先週と今週、2回の保護司研修があり参加、あれこれ考えさせられました。そして、「まだまだ自分は未熟だ、人生修行が足らん」、そんな反省も…。

 

 1回目は「富士・富士宮地区保護司研修会」。講師は保護観察官出身の福島大学大学院人間発達文化研究科教授の生島浩氏、演題は『保護司が知っておくべき発達障害〜非行・家族臨床の観点から〜』でした。

 

講師の生島氏

 

 講演で生島氏は、2007年の会津若松市母子殺害・遺体損壊事件や、2014年の名古屋大学生の殺人・同未遂事件などを取り上げながら、発達障害と責任能力、刑事司法・矯正保護と福祉の協働、さらに、非行・犯罪からの立ち直りのポイントなどを語りましたが、臨床現場からの主張だけに説得力がありました。

 

 その中の主張の一つ、犯罪に対して“俺は病気、(発達)障害があるから”で本人、そして周囲も処理される傾向が強まっていることに対して「障害の特性という諸事情を理解することは大事だが、大目にみることではない」に同感。

 また、「非行・犯罪からの立ち直りには家庭、学校、地域での居場所感の回復が重要である」の主張は、保護司業務への貴重な意見と受け止めるべきものでした。

 

 2回目は「4支部合同研修」。講師は前・富士地区保護司会会長の太田昭道氏、演題は『保護司とボランティア活動』でした。

 

講師の太田氏

 

 講演で太田氏は、75歳定年で退任するまでの40年間余の保護司活動での保護観察対象者は実に98人に達したこと、その中には再犯率が極めて高い覚せい剤事犯の保護観察ケースも多く、「覚せい剤事犯の保護観察対象者の来訪時には危機管理意識を持ってほしい」とのアドバイスも受けました。

 

 ここで言う“来訪”とは、保護観察対象の少年院や刑務所の退院者・出所者に一定期間、義務付けられるもので、基本的に月2回、担当保護司の自宅などを訪問、近況を報告するものです。

 

 太田氏は、「覚せい剤事犯の保護観察対象者は再び覚せい剤に手を出して来訪することも想定されることから、面接する際、直ぐに逃げられる出口側に座るようにしていた」と語り、危険を承知での使命感に燃えての取り組みに頭が下がりました。

 

 保護司は、保護司法や更生保護法に基づき委嘱を受けた非常勤の国家公務員で、交通費などの実費支給を除いてボランティアで犯罪や非行に陥った人の更生支援を任務としています。

 

 人口数に応じて委嘱定数が定められているものの、定数割れが続き、平成22年以降、6年連続で減少。なり手不足と現職保護司の高齢化により「このままでは向こう10年間で保護司は半数になってしまう」とさえ言われています。

 

 この一方、少年犯罪は減少傾向を示すものの、一般刑法犯の再犯率が覚せい剤事犯を中心に高まり、これに加えて平成28年6月に一定期間、服役した受刑者に執行を猶予して保護観察を付ける“刑の一部執行猶予制度”が導入されたことで保護司の業務需要が高まっています。

 

 自分が所属する支部もなり手不足で頭を抱えており、市内の他支部からも、そうした声があがっています。

 特別職としての公務員である市議が非常勤の国家公務員である保護司を兼務することは認められているものの、担当する保護観察対象ケースが多いと市議公務に支障を生じることになるため「好ましいことではない」です。

 自分の場合、それを認識していることから「受けて下さる方がいるまで…」とピンチヒッター感覚で引き受け、これまで何人かにアタックするも承諾を得ることができず、早4年が経過。「専門職出身でない、凡人の自分には荷が重い」、それを実感しながら四苦八苦、試行錯誤の繰り返し状態で保護司業務に携わっています。

 

 保護司の新任研修の際、講師役の保護観察官から「保護司には守秘義務があり、保護司に関することをブログなどに記してネットにアップするのは避けるべき」と教示されている中での、このブログは、上記のような「保護司とは…」、「保護司の現状」を広く社会に伝え、理解を求めていかなければ保護司制度が崩壊してしまう、そんな危機感を抱き、注意・批判を受けることを覚悟してのものです。

 

 少年刑法については、家庭の教育機能崩壊によって非行に走るケースが多いことから、その更生には教育関係、一般刑法犯については、生活再建の課題を抱え込んでいる人が多く、加えて覚せい剤事犯を中心にした再犯率も高いことから福祉制度を熟知した地方公務員関係や警察関係の0B・OGの方々に「ぜひ、保護司に…、長年の業務で習得しているノウハウを犯罪や非行に陥った人の更生支援に活かしてほしい」と願っています。

| - | 23:13 | comments(2) | - |
コメント
毎年、保護司会に対し連合町内会から1世帯当たり50円の寄付金を寄付していたのに来年度からは社会を明るくする運動推進委員会事務局に1世帯当たり20円になったことは御存じですか?こんなに大変なことを引き受けてくださっている団体に申し訳ない気がするんですが・・・。
| 藤田嗣 | 2017/02/20 9:42 PM |
藤田さん、コメント、お寄せ下さり、ありがとう、ございます。
寄付金を有効に使用させていただき、小生が所属する支部では、社会を明るくする運動の一環である街頭啓発に加え支部事業として「朗読と講演の夕べ」にも取り組んできたのですが、資金難で、今年は、どうしようかと悩んでいます。
| 海野しょうぞうです | 2017/02/20 10:14 PM |
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