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富士市の下水道料金据え置きの舞台裏

 少しばかり旧聞、すでに一部マスコミが伝えていますが、7月31日に市庁舎内で富士市水道事業及び公共下水道事業経営審議会(小滝勝昭会長)が開かれ、小長井義正市長から諮問を受けた2019年度(平成31年度)から2023年度(平成35年度)までの5年間の下水道使用料について協議、担当部の上下水道部が示した3案の中から「改定なし」の据え置きと決し、近く、市長に答申することになりました。

 

ブログIMG_0056.jpg

市庁舎内で開かれた審議会です

 

 富士市に限ったことではありませんが、下水道や水道などの使用料は“公共料金”と位置付けられ、その引き上げは、理由はどうであれ反発を受けることから避ける傾向が強く、結果として長期据え置きの反動として大幅な引き上げを招いてきました。

 今回の諮問は5年サイクルとしている見直しに基づくもの。その結果が据え置きとなることで、「将来的には大幅な引き上げに…」の不安がありますが、資料を紐解くと、「そうでもないらしい」です。

 長文になり、恐縮しつつ、据え置きの舞台裏をチェックしてみました。

 

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新聞報道です(購読紙の静岡新聞)

 

 公共下水道事業は地方財政法などにより「公営企業」として規定されており、独立採算制による経営を行うこととなっています。

 しかし、地方公営企業法を適用するかどうかは各事業体の判断に委ねられており、県内でも一般会計と同じ経理方式の「官庁会計方式」で取り組む市町が多い中、総務省は2014年6月24日の閣議決定をもとに「公営企業会計の適用拡大に向けたロードマップ」を示し、法適化を指導。この動きの中、すでに富士市は法適化を図り、経理上では独立採算制が図られています。

 

 とはいえ、水道と同じように下水道の整備には莫大な先行投資が必要で、その財源は企業債、いわゆる借入金に頼り、運営についても使用料収入の伸び悩みを概括的な理由に一般会計からの繰入金(負担金)に依存、2019年度から2028年度の収支見通しでは「依然として毎年20億円から22億円の一般会計からの繰入金が必要になる」としています。

 

 つまり、「経理上は独立採算制であるものの、整備にあたっての財源確保は借入金に頼り、運営にあたっての財源不足は一般会計からの繰入金で対応」というわけです。

 

 独立採算に向けては「それなりの使用料金を」となりますが、引き上げに対する市民の反発が強く、その結果、経営が追い込まれ、長期据え置きの反動として大幅な引き上げに…。

 富士市の改定(引き上げ)の経過が、それを示しています。

 

 1985年5月1日  改定率69.9%

 1991年4月1日  改定率54.6%

 1994年5月1日  改定率15.8%

 2004年4月1日  改定率19.3%

 2014年4月1日  改定率17.66%

 

 改定とは「それまで決まっていたことを改める」という意味で、「引き上げ」だけでなく「引き下げ」も意味しますが、公共料金とされるものの改定は「引き上げ」を意味することが定着。ここで示した改定も、すべて引き上げで、長期据え置きの反動として大幅な引き上げに…となっています。

 

 前回の改定、引き上げの使用料算定期間は、2014年度から2018年度の5年間であったことから、今回、2019年度から2023年度の5年間を算定期間として審議会に諮問したものです。

 

 諮問の趣旨で小長井市長は、「下水道管路や下水処理施設の耐震対策等を早急に進める必要があり、下水道管路等の老朽化が進行し、計画的な更新や長寿命化を実施するためにも、今後、多額の費用が必要になることが懸念される」としていました。

 

 この諮問を受けての審議会で上下水道部が示した3案は…

 

_定なし(1当たりの使用料単価137.0円のまま)

 

∧振儔定率9.49%(1当たりの使用料単価を総務省通知が示す単価である150.0円に引き上げる)

 

J振儔定率4.74%(1たりの使用料単価を,鉢△涼羇崔佑任△襭隠苅魁ィ輝澆箸靴討い)

 

 この3案の提示にあたって上下水道部では、「引き上げをせずとも予定している改良工事は向う5年間、実施できる見通し」を伝え、協議の結果、審議会は,痢峅定なし」の据え置きと決したものです。

 

 主張を裏付け、上下水道部が案として示した引き上げの△鉢は、一般会計からの繰入金の削減に目を向けたもので、△裡后ィ苅后鵑琉き上げを実施した場合の削減額は年間2億円、の4.74%の引き上げを実施した場合の削減額は年間1億円としています。

 

 31日に開かれた審議会を、下水道事業を所管する市議会建設水道委員会の委員であることから傍聴しました。

 議事進行役を担った小滝会長の自由闊達な意見提示を促す見事な采配もあって、結果としては「改定なし」の据え置きと決したものの、委員から「料金より安心・安全を優先すべきでは…」や、過剰な一般会計からの繰入金への警戒戦線を張る格好での「合併浄化槽利用者との公平性は保たれるか」など貴重な意見が出されました。

 

 審議会では、この日の結論である「改定なし」の据え置きを市長に答申する予定で、市長が答申を尊重した場合、議会には改定案が上程されることはありません。

 

 で、一件落着となるのですが、今回の審議会の結論である「改定なし」の据え置きの舞台裏には、下水道整備は管路整備を主軸に峠を越し、借金である企業債残高は2001年度の476億円をピークに減少、当初予算見込みで2018年度は297億円、予算見込みで2023年度には251億円に減少、これにともなって企業債償還金(元金償還金)も減少することがあります。

 さらには、2016年度から2017年度にかけての生活排水処理長期計画で下水道計画区域の見直しを敢行、100haもの区域を計画外としていることもあげられます。

 その下水道計画区域の見直しでは、下水道整備を待ってマイホーム改築、あるいはリフォームを予定していた市民の期待を裏切っており、今回の「改定なし」の据え置きには、そうした犠牲もあり、それを認識しての今後の下水道事業の経営を願いたいものです。

 

 富士市の2017年度末における下水道処理人口普及率は75.9%、その処理人口は約19万2千人です。

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